西陣織「弟子の労働条件はブラック」か、この『労働問題』を考える
リスクマネジメントの専門家がお伝えします。
西陣織の弟子募集はブラックだ!
ネット上で炎上していますが... あなたはどのように思われますか?
この問題を考えるには、まずは「弟子」や「ボランティア」は労働者なのか。
(多くの場合は労働実態で判断されます)
この点が明確になれば、この問題は解けます。
「労働者」を定義する法律は二つあります。
一つは労働基準法(労基法)です。
もう一つは労働組合法(労組法)です。
<労基法の主な労働者要件は、職業の種類を問わず>
(A) 事業(事業者)に雇われている(使用されている)者
→ 使用従属性といいます。
(B) 労働の対価として賃金の支払いを受けている者
→ 対価性といいます。
この使用従属性と対価性の有無が判断の基準となります。
<労組法の主な労働者要件は、職業の種類を問わず>
(C) 賃金、給料、その他、これに準ずる収入によって生活する者で
→ 経済的依存性が判断の基準です。
「弟子」や「ボランティア」であっても、(A)と(B) または (C) の要件にあてはまる者は労働者です。
詳細は、厚生労働省の「労働法〜働くときに必要な基礎知識〜」をご覧ください。
また、呼称に関係なく「パート、アルバイト、非常勤、嘱託、非正規... など」も労働条件によって、「労働者」や「短時間労働者」に該当します。
そして「労働者」であれば、労働法の対象となり、労働保険か社会保険が適用されますし、短時間労働者に該当すればパートタイム労働法で保護されます。
このように労働者であれば労働法によって保護され、この労働法に反する行為を使用者が行っていれば ”ブラック” だといえます。
ここで、西陣織の弟子募集の内容を見てみます。
「西陣織を習いたい、将来的に仕事にしたい方を募集します。ただし最初の半年は給与的なものも出ませんし、その後の仕事を保証はできません。ただ、この西陣織の職人が減りゆくなか、将来的に技術を覚えておきたい方に無料で教授いたします」
上記内容を要約すれば、
・最初の半年は賃金はありません。
・無料による西陣織の技術の教授です。
・その後の仕事は、あなたの技量と社会状況に依存するので分からない。
それでもよければ伝統技術を教えます。
このような内容です。... これはブラックでしょうか?
- 2017.03.31 Friday
- リスクマネジメント
- 19:20
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- by REPsコンサル 西野 泰広