あるテレビ番組で、故ジャニー喜多川氏「淫行問題」の再発防止について議論されていました。
その番組中に「“加害者” が既にいないのに『何が再発するのか』と言い、いまさら再発防止は不要では…… 」このような評論家のコメントを耳にしました。
この方のように表面的な部分だけを捉えれば再発はしないかもしれませんが、防がなければならないのは「淫行」だけではなく『重大な「不正」や「不祥事」の発生』で、特に背徳行為が長年続けられてきた組織は再発を招きやすい風土にあると言えます。だから再発防止はmustです。
本題に戻ります
故ジャニー喜多川氏(以降「故ジャニー氏」と表記)の未成年者に対する性加害は1960年代から2010年代前半まで40数年間続いていたと言われています。
■40数年間も…… なぜ続いたのでしょうか。
それは、この問題が事件になっていないところにあります。
故ジャニー氏から性被害を受けた被害者は、「告訴」も「訴訟」もしていません。
・「告訴」は刑事事件として犯罪者を法的に罰する訴え
・「訴訟」は民事事件として損害賠償を求める訴え
そのため、故ジャニー氏は刑事的な責任は問われていません。
※「強制わいせつ」や「強制性交等」は2017年までは
親告罪で、被害者が告訴しなければ起訴されない
罪でした。(現在は非親告罪です。)
では、被害者は “なぜ告訴も訴訟もしなかった” のでしょうか……
なぜ、社会に “受け入れられなかった” のか!
その「理由」と「何をしなければならないのか」をお伝えいたします。
故ジャニー喜多川氏による「性加害事案」の要旨については、
テレビ、新聞、雑誌などが大々的に取り上げたことでご存じだと思われますので、性加害の内容については割愛させていただきます。
会見がなぜ社会に「受け入れられなかった」のか!!
(これは危機管理マネジメントです)
まず、不正・不祥事に関する謝罪会見には原則と呼ばれるものがあります。
それは「お詫びの原則」と呼ばれ、謝罪に不可欠なプロセスが記されています。
重大な不正・不祥事事案は、このプロセスに沿った内容でなければ、“社会は謝罪とは評価しない” のです。
<お詫びの8原則>
(1)“なにが起きたか” 事実を包み隠さず伝える
(2)“なぜ起きたか” 原因を正しく伝える
(3)起こしたことへのお詫び
(4)起きたことに対する問題解決の提示
(これは被害者救済です)
(5)将来にわたる安心の提示
(これは再発防止および信頼回復です)
(6)厳しい処分の提示
(これは反省の意思表示です)
(7)お詫びのタイミング
(8)いさぎよさが感じられること
(言い訳をしてはダメです)
重大な事案であればこの内容が “完パケ” でなければ事態を更に悪化させることになります。
なぜ社会に「受け入れられなかった」のか、
それは、謝罪会見が「謝罪になっていなかった」からです。
「お詫びの原則」に照らし合わせれば、その理由が顕れます……
政府は2023年3月13日より「マスク着用は個人の主体的な判断にまかせる」との方針を示し、更に同年5月8日には新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を2類相当(感染症法上の位置付け)から「5類」に引き下げる措置を行いました。
これは新型コロナウイルス感染症(以下、「新型コロナ」と表記)の軽症化により “社会に危機を及ぼす危険な状況ではなくなった” との判断によるものです。
オミクロン株が弱毒化したかは不明ですが、ワクチン接種と自然感染による免疫保持者の増加により、患者数の増加に比べて重症者数が少なかったことから軽症化と表現しました。
これらに伴い、企業内では “コロナ前” の状態に戻す動きが加速したように感じます。
「アルコール消毒液」「コロナ対策パーテーション」の撤去や「マスク外しを要請する」などの動きがありますが、新型コロナは終息どころか徐々に増加に転じている状況です。
(国内の感染症専門家は高い確率で9波・10波は起こると予測しています。)
このような状況下で、お客様(消費者)と直に接する部署で業務をする私の知人から “「上司からマスクを外すように強く言われ」どうすればよいのか悩んでいる” との相談を受けました。
(このような状況は他の職場でも起きているのではないかと思い、今回記事にしました。)
その知人の説明では「マスクを外すように強く言われた」背景には、“笑顔でお客様と接しよう” との強い思いが経営陣にあるとのことです。
やっとマスクが外せる状況になったので、この思いは理解できますが、「マスク外しの要請はいささか早計」ではないかと私は感じています。
「マスク外しの推奨」なら問題はありませんが、「マスク外しの要請」や「マスク外しの強要」となると、これは大きな問題です。
かといって、お客様と直に接するような部署で「マスク外しは個人の判断」と言われても困惑すると思います。
(お客様(消費者)と接することがない部署では、この問題は起きません。)
想像してみてください “接客する従業員の半数は「マスクを着用し」もう半数は「マスクを外している」このような光景” 異様に感じませんか。
この会社の、
マネジメント能力は…
ガバナンスは…
統率力のない組織では…
など、良い印象は受けませんよね。
では、この「マスク外し」の事案は
「何が問題」で「どうすれば良い」と思われますか……
新型コロナの現状について
WHOは「終息にはまだ到達していないが、終わりが視野に入ってきた」と述べましたが、海外の感染症に詳しい東京医科大学の濱田特任教授は「WHOの言う終わり」は流行の終息ではなく、「“新型コロナと共存できる社会が見えてきた” という意味ではないか」とコメントしています。
5類移行の決断は「新型コロナの終息ではなく」欧米諸国と同様に社会経済活動を重視する(新型コロナと共存する)政策に転換したと言うことです。その起点となるのが23年5月8日なのです。
この起点を境に、行政機関や医療機関の対処が季節性インフルエンザなどと同じ位置づけに変わることになります。(行動制限が大きく緩和されます)
既にマスクの着用については(23年3月13日)「個人の主体的な判断」に変わり、更に感染者の療養期間の短縮や医療費の自己負担など… 変わる予定になっていますが、国内の感染症専門家は高い確率で第9波・第10波は起こり得ると予測しています。
このような状況を踏まえて、今後は「感染拡大を防止」しながら、「社会経済活動が継続できる」ように個々が主体的に判断し行動しなければならなくなりました。
あなたは “新型コロナの「感染拡大を防ぎ」ながら、「社会経済活動と日常の楽しみ」を両立させる” ために、どのように取り組みますか。
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前回の記事「なぜ今! レピュテーションマネジメントが重要なのですか」で、不正や不祥事に対するリスクマネジメントは「不確実性リスクの管理」である。そのため “リスク(危険度)は画一的ではありません” とお伝えしました。
(同じ不祥事でも取り巻きの環境や状況によって「リスクの度合い」が変化するのです)
このような「不確実性リスク」に対処するには、「リスクを冷静に評価」することのできるスキルが求められます。
(リスクを正しく評価することができて、初めて適切な判断が行えるのです。)
では、どのようにすれば「正しいリスク評価」ができるようになると思われますか。
・
・
・
それには、経験を積むしかありません。
不祥事事案の当事者として「不祥事の対処に直接かかわる」ことです。
この経験を重ねることで初めて「不祥事と対峙する感覚」が身につくのです。
(だからリスクマネージャーは経験がとても重要なのです)
しかし、経験を積みたくても自社の不祥事はいつ起こるか分かりませんし、不祥事が頻繁に起こっても困ります。
だからと言ってただ待っていてもスキルは向上しません。
そこで重要となるのが「仮想体験(virtual experience)」です。
他社が起こした不祥事を自分事(当事者)として「考察」するのです。
(特に同業社が起こした不祥事は考察する価値があります)
今年も2022年に起きた不正・不祥事事案を掲載しましたので ぜひ考察にtryしてみてください……
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上記のタイトルは “若き経営者との懇親の席でよく受ける質問” です。
今回はこのことについてお伝えいたします。
不正や不祥事に対する主なマネジメントは
(a)リスクマネジメント
(b)クライシスマネジメント
(c)レピュテーションマネジメント
です。
これらのマネジメントは似ているようで違いますし、違うようで似ていて相互補完の関係にあります。
それぞれのマネジメントが “どのような場面で、どのような目的で” 使われるかをまず説明します。
これが理解できればより効果的なマネジメントが行えます。
まずは(a)リスクマネジメントです。
一般的には危険度管理と訳されますが、不正や不祥事に対するリスクマネジメントは「不確実性リスクの管理」です。
・「起きる」か「起きないか」分からない
・起きた不祥事が「軽微」か「重大」かも分からない
・「軽・重」はその会社の社会的ポジショニングや、
そのときの社会状況で変わります。
このようにリスク(危険度)は画一的ではなく不確実なのです。
(これは上記の “bもc” も同じです)
そのため管理手法は、「潜在的なリスクを洗い出し」、「そのリスクが顕在化することのないように対策を講じる」これが基本的な考えかたです。
(1)どんなリスクが存在するのか
・全てのリスクを把握する
(2)把握した全てのリスクの評価
・リスクが会社に与える影響を評価する
(3)管理するリスクの選択と対処
・全てのリスクに対策を講じるのは困難であるため
影響の大きなリスクに対策を講じる。(管理リスク)
・他のリスクは発生時の対処とする。(管理外リスク)
(4)管理するリスクの対策を関係者と
協議し共有する
(5)リスクが顕在化した場合への対処
・新たな対応策を関係者と協議し実行する。
これらのことが必要で、(3)(4)(5)が「不確実性リスクの管理」となります。
次に(b)クライシスマネジメントですが
クライシス(crisis)は
“どんな状況” で “どんな管理” が必要だと思われますか……
リスクマネジメントで最も重要なことは “リスクマネジメントが「機能する仕組み」を構築する” ことであると何度もお伝えしていますが、その大きな理由は、重大なリスクに “なればなるほど” 「経営陣の管理と判断」が強く絡んでくるからです。
そして経営陣が絡めば「収益」が「適切な判断の足かせ」となりリスク管理が機能不全におちいり、不祥事は隠蔽へ ………
そして、この致命的な判断ミスは、ある日 世間を騒がせる不祥事として露呈することになるのです。
REPsコンサルHP掲載の
<レピュテーションを失った企業>
ここに掲載している事案の多くは “リスク管理が機能しなかった” ことで起きた重大な不祥事です。
上記のような不祥事も “いきなり重大な不祥事にエスカレート” したのではありません。
社内では、比較的軽微な不祥事として何度か問題になっていたはずです。
ハインリッヒの法則も「1つの重大事故の背後には29の軽微な事故があり、その背景には、更に300の異常が存在する」と言うトライアングル定理があるように、いきなり重大不祥事が起こるようなことはないのです。
この段階で適切な対処ができていれば “世間を騒がせる不祥事” に発展することはありません。
「重大な不祥事に発展する前に『くい止める』ことができた」と言うことです。
(軽微なリスクであれば担当部署の裁量で決裁が行えることが多くなります)
今回は、この「くい止める手法」の一つをお伝えいたします。
理解しやすくするために題材として近年多発しています
「製品の『品質検査』や『品質試験』不正」の事案を用いて説明します。
<レピュテーションを失った企業> にも数多くありますのでご覧ください。
まずは、なぜ “検査や試験で不正が起こる” と思われますか?
その原因は……
レピュテーションマネジメント(reputation management)を直訳すれば、
⇒ 「評判管理」となります。
これを “会社の経営” に読み替えれば 、「会社の評判管理」となりますが、これでは輪郭がボヤとしていて “何をどのように管理するのか” はっきりしません。
そのため、私は「評判」に「評価や信用や信頼」を加え、レピュテーションマネジメントは
『評価・評判 と信用・信頼の管理』とお伝えしています。
これなら、“レピュテーションの低下” は「経営に大きな影響を与える」ことが直感的に理解できるはずです。
そして、私が提唱する「レピュテーションマネジメント」は、評判を向上させる管理ではなく、
これまでに築き上げてきた信用や信頼を “失わない” 管理の提言やマネジメントのサポートに焦点をおいています。
信用や信頼を向上させることは一朝一夕にはできませんが、信用や信頼を失うのは一瞬です。
(まさに、ことわざの「築城3年 落城3日」です。)
では、レピュテーションは
“「どのような不祥事」で『何が起きた』場合に喪失する” でしょうか。
実際の業務では、このことがとても重要な要素になります。
一般的な <レピュテーション低下の要因>
(1)不祥事が
「消費者に多大な被害や損害を与える」場合
この場合、社会的事案として大きく報道されますが、
適切な対処を行えばレピュテーションの低下は、
一時的なものに留められます。
・一度の不祥事で喪失することはまずありません。
ただし、“重篤な被害者が大勢いる” ような場合は、
一度の不祥事でも喪失することがあります。
(2)不祥事を起こした後の
「対処が不適切」であった場合
不祥事を起こせば多くの方が、その後の対処に注目します。
その対処が釈然としないような場合は大きな影響を受ける
ことになります。
・「不祥事という過ちに加え “その対処”
でも過ちを犯した」ような場合です。
一つの不祥事で二度の過ちを犯せば、
喪失しても不思議ではありません。
(3)不祥事を起こした企業の「社会的ポジショニング」によって、レピュテーションに与える影響は違ってきます。
これは期待感と言われるもので、社会的な期待感が高い企業ほど影響は大きく出ます。
(4)不祥事が「再発」した場合、喪失は免れません。
レピュテーション喪失の多くは「不祥事の再発」に起因しています。
“当たり前の管理ができない会社” という「烙印」を押されるからです。
このようなことが一般的に言われています。
上記の中でもレピュテーションマネジメントで重要なことは ……
]]>「正常性バイアス」をコントロールするしかありません。
しかし、あなたの心に取りつくこの「正常性バイアス」は、とても厄介な存在です。
例えば、
下記のような “危機に直面したら” あなたはどのような行動をとりますか。
(1) 地下街で買い物をしている時に、
突然火災報知器が鳴り響いた。
(2)ホテルで朝食をとっている時に、
テーブルのコーヒーがこぼれるほどの地震が起こった。
(3)自宅で寝ている時に、消防署の職員が
「近くの川に氾濫の危険がある」と避難の呼びかけが聞こえてきた。
・
・
・
下記のような「考え」や「行動」は正常性バイアスが働いているかも……
(1:action)
→ 周りを見ても「煙も見えない」し「焦げた臭いもしない」ので
誤報と考え逃げなかった。
(2:action)
→ 地震はもう来ないだろうと考え、その場にとどまった。
(3:action)
→ 周りを見ても「誰も避難していない」し「雨も弱くなっていた」ので
大丈夫だと考え、そのまま寝ることにした。
あなたはどうでしたか?
■ 正常性バイアス(normalcy bias)とは、
人が無意識にとる行動の「心理学的」用語の一つです。
・正常性は、「大丈夫」や「起こらない」や「ありえない」と思いたい先入観や願望です。
・ここでのバイアスは、「偏見」や「思い込み」や「強がり」と表すのが適切です。
人間の脳には常に平穏を保とうとする機能が備わっています。そのため突発的な不安や恐怖に直面してもパニックに至らずに冷静に対応することができる力となりますが、これが強く働きすぎると危機的な状況であるにもかかわらず「まだ大丈夫」「これくらいなら問題ない」などと思い込む「根拠の無い安心感」を作り上げます。
実際に起こった「常性バイアス」による心理的行動
下記内容は東日本大震災発生から3年後に行われた被災者の方々への調査報告の一部です。
Aさんは地震発生後に建物の屋上から海の様子を見ていた……
遠くから迫ってくる津波を目撃し、慌てて『津波が来る、すぐ逃げろ』と大声で呼び掛けたが、多く方が直ぐには逃げなかった。
(そのため多くの犠牲者が出たのはみなさんが知るところです)
これを防ぐにはどうすればよいでしょうか……
]]>
いきなりの質問ですが、
あなたの会社に「経営理念」や社員の「行動憲章」「行動規範」はありますか。
経営理念/企業理念とは、
ある物事において「こうあるべき」という根本となる考えを意味します。一般的に「会社は何のために存在するのか」「経営の目的は」「どのような活動をする」といったように、 “組織の存在意義や使命など基本的な価値観” を表しています。 (ビジョンやミッションとは異なる概念です。)
そして、その「理念」「憲章」「規範」を社会に公表していますか。
ある企業は、下記のような “社員の行動規範” を社会に公表しています。
<その行動規範の要約>
この行動規範には、社員一人ひとりが守らなければならない倫理的な事業活動に関する基本的な行動指針が書かれており、その内容には、「公正である」「誠実である」「正直である」「尊重する」「責任を持つ」といった倫理的行動と、法令遵守に加え、公正競争、贈賄防止、機密情報や知的財産の保護、人権尊重、製品・サービスの安全、環境保全、企業情報開示などについての具体的な行動が定められています。
そして、この企業の行動規範には、
「お客様やビジネスパートナーをはじめとした『ステークホルダーの皆さんから信頼されなければならない』。そのために欠かすことのできない “第一歩がこの「行動規範を遵守し誠実に業務を遂行する」ことである” と具体的に示されています。
更に、この企業は「行動規範」を全社員に繰り返し周知する定期的な教育と研修が行われています。
では、このような「理念」「憲章」「規範」の策定と公表が、どのような影響を与えると思われますか……
]]>
経営者であれば誰もが気になる事柄ですよね。
今回は、その時に答えたことについてお伝えします。
まずは、皆さんに質問です
近年「重大な企業不祥事が多発」していますが、「何に起因する不祥事」が多いと思われますか?
ヒントは、REPsコンサルHPの「レピュテーションを失った企業」
ここに掲載されている多くの事案にその答えが隠れています。
何が起因しているのでしょう……
この答が解れば、「重大な企業不祥事を防ぐ糸口」が見えてきます。
では “三つの これ” 無しにクレーム対応をすれば、何が起こるかを先にお伝えいたします。
例えば、(これは実際に起きた話です)
日本で販売されています家電製品の多くは、購入後1年間のメーカー保証が付いています。
注) 中には3年間保証や、まったく保証が無い製品もあります。
この購入後1年間のメーカー保証、厳密に言うと1年間ではありません。
「保証の運用上」数日間延長されているのが実情です。
なぜなら、購入後にご家庭で使用していた家電製品がちょうど365日目に故障したとします。
その後、メーカー保証の修理を行うには、「購入店に故障の製品を持ち込み → 製造メーカーに送られ」修理が開始されることになります。
修理が開始されるまでに「修理品の移動日数」ぶんの時間を要することになります。
では、質問です
1年間保証に「修理品の移動日数」が定められていなければ、何が起こると思われますか。
・
・
・
“1年間のメーカー保証に対するクレームが起こる” このことが容易に予測できます。
仮に、修理が開始されるまでに「7日間」かかるとすれば、358日目に故障しなければ1年間の保証期間外になってしまいます。
(これでは購入後1年間の保証とは言えません。)
移動日数を7日とにすれば、保証運用上「7日間」保証を延長することが必要になります。
※ 家庭で故障した修理品が何日間で製造メーカーに到着するか、この移動日数を決めることが必要です。
この日数は公表されていませんがメーカーで異なり3〜14日間だと言われています。
1年間保証と言うのであれば “修理品の移動日数を考慮に入れ” 何時をもって購入から1年間とする「判断基準」を決めておくことがとても重要となります。
違った言い方をすれば、適切かつ明確な「これ=判断基準(決まり)」が無ければ、1年間保証の「正当性が保てない」ことになります。
だから “これ=判断基準(決まり)” 無しには適切なクレーム対応はできません。
クレーム対応で正当性の無いような事を、お客様にいくら説明しても納得などしていただけません。(これでは、お客様は「怒る」か「呆れる」しかありません)
判断基準(決まり)の重要性については理解していただけたと思いますが、これだけではまだ適切なクレーム対応は行えません。
もう「二つ」重要なことがあります。
1つ目は、上記のような「判断基準(決まり)」ですが、
残る「二つ」は “何だ” と思われますか……
先日、ある企業の経営者である松島社長(仮名)からリスクマネジメントについて質問を受けました。
内容は、“リスクマネジメントを強化するために何が最も重要でしょうか” このような質問でした。
“なぜ強化が必要と感じたのでしょうか” とお聞きしたところ、社内で問題が続けて起こったとのことです。
・起こった事案:パワハラ/セクハラ、商品品質問題、豪雨災害、コロナ対応などでした。
更に、まだ起こってはいないが不安を感じる事案として
・サイバー攻撃、情報セキュリティーと情報漏洩などが上がりました。
社長は20年間経営に携わっていますが、これまでに重大インシデントに至った事案はないとのことでした。
(経営規模は、年商約100億円、正社員135名、パート・アルバイトが約170名)
「リスク管理の専門部署はなく、主に総務部が担当している」とのことでした。
状況説明の中で私が気になったのは “近年、従業員の会社に対するエンゲージメントが低下しているように感じることがある” との部分でした。
( “テレワークが影響しているかも… ” とのことでしたが )
一般的に “エンゲージメントの低下は重大なインシデントを引き起こす” と言われていますので、とても気になりました。
【これらの懸念に対して】
まずは、規模の大きな「リスクマネジメント部門や部署」はなくても問題はありませんが、リスク管理の役割と責任を明確にするために、数名規模の “○○室” 的な「組織」と「専任者」は必要だと答えました。
なぜなら、「リスク管理を機能させる」ことが最も重要だからです。
※ リスク管理が機能しなければ、何も無いのと同じです!!
よく起きるのが、リスク管理の専門部署と優れた専任者もそろっているが、“重大なインシデント” では管理が機能しない。このような状況が少なくないからです。
REPsコンサルHPの「レピュテーションを失った企業」
ここに掲載されている事案の多くは上記の状況に合致します。
では、なぜ “重大インシデント事案では、リスク管理が機能しない” のでしょうか……
]]>
昨年もお伝えいたしましたが
重大な不正・不祥事は、いつか必ず『発覚(露呈)』します
いつまでも隠し通すことはできません。
なぜなら、
Ⓐ 業務担当者はある時期に必ず交代します
・ジョブローテーション、転勤、他部署へ業務移管などで
・定期的に行われる「業務監査」や「定期検査」なども
・ある日突然担当者が変わることもあります。
2020年・2021年はリモートワークの影響で担当者の入れ替えが激しく起きたはずです。
人が変われば「不自然な業務の流れ」や「数値」に違和感を感じます。
(不正は何処かに違和感を感じものです。)
この違和感が不正をあぶりだすトリガーになるのです。
Ⓑ 内部告発の増加(現在、不正発覚の半数以上を占めている)
内部告発の動機は様々
一般的には「正義感の強い者」が告発行動を起こすのですが、近年は「会社、上司、同僚」に不満を抱く者の告発が増加していると伝えられています。
Ⓒ 更に告発者を後押しするのが
・「公益通報者保護法」の制度充実
※ 令和2年6月に同法の一部が改正され、令和4年6月までには施行されます。
この中に従業員数300人以上の企業には、
内部通報に適切に対応するための必要な体制の整備が義務付けられます。
・従業員の「帰属意識の低下」からくるエゴイズム
このような状況から不正は発覚(露呈)するのです。
このことを念頭に置いて
2021年に起きた「企業の不正・不祥事」 事案を眺めてください。
新たな感情と「何が必要か」が沸き起こるはずです......
]]>
今回は、そのための「組織と仕組み」についてお伝えします。これが無ければ従業員の安全/安心は守れません。
※ ここでのクレームとは “消費者からのクレーム” を指しています。
クレーム対応は「個人」に “させるな”
とは言っても、電話や店頭でのクレーム対応は “顧客と従業員の一対一の対応” が基本ですので、“させるな” とは応対者が「不安を抱くような判断は組織で行え」と言う意味合いです。
なぜなら、判断を応対者に任せれば、その責任を応対者が抱えることになり強いストレスになります。
そのため応対者は “ストレスによる不安から逃れたい” 思いにより「冷静な判断」ができなくなるからです。
クレーム対応など誰もがしたくはありません。
その誰もがしたくない “クレーム対応を押し付けられ、誤った判断で責められる” こんなことを応対者にしてはいけません。
誰もがそう思いますよね。
しかしこのような事を行っている会社は少なくありません。
なぜだと思います……
※ カスハラとは、従業員が顧客や取引先から受ける嫌がらせですが、この文章では消費者から受ける嫌がらせだとご理解ください。
UAゼンセン(加盟組合の組合員福祉共済互助会)が、流通、小売、飲食、サービス業などで働く組合員を対象にした調査報告(2020年7〜9月の調査:全国233組合の26927人の回答)によると。
直近2年間で約57%人が「理不尽なカスハラを受けた」と報告しています。
(軽微なものを含めれば更に多いはずです)
その中でも担当者に「暴言や大声を発し無理な要求をする」悪質なクレーマーの増加が目につきます。
私のところにも経営者の方から悪質なカスハラの相談がありますが、その中には従業員が精神的な苦痛と不安で医師の診察を受けたり、適応障害の発症(気分の落ち込み、意欲低下、不眠… など)により出社ができなかったり、更には離職に至ったこともあるとのことです。
このような状況から “苦情やクレームに対処する従業員を守る” には経営者は何をしなければならないのか!
今回は、企業としてすべきことをお伝えいたします。
この問題は、経営陣の意識がkey pointです。そのため真っ先に行わなければならないことは、カスハラに対する経営陣の意識改革です。
経営陣の意識改革
カスハラが及ぼす経営への影響は、「時間的」「経済的」そして「従業員のメンタル面」からも『経営上の損失』でしかありません。そのためカスハラが防止できなければ従業員は疲弊し業績は悪化します。
更にカスハラの防止は義務でもあります。
企業は労働契約で従業員の安全管理義務(労働契約法5条、安全配慮義務)が課せられています。そのため従業員をカスハラ被害から守らなければなりません。
※ 2020年6月に施行された「パワハラ防止法(改正労働施策総合推進法)」の中にカスハラも含まれます。このパワハラ防止法は2022年4月からは中小企業も対象となります。
※ 安全配慮義務に反しても直接的な罰則はありませんが、安全配慮義務違反が原因で従業員に何だかの損害が発生した場合は、民法の報償責任や不法行為や債務不履行などで訴えられる可能はあります。
経営者は、従業員をカスハラから守る措置を講じる義務があるのです。
経営陣の意識改革、まずは “これから”……
昨年の年頭に ”グローバル化が避けれない日本企業の「不正・不祥事」、海外マーケットはどのように感じているか” について述べました。
<内容>
『CSR(企業の社会的責任)に対する意識が強い先進国の社会で、日本の企業経営は「どのように映っているか」、コンプライアンスよりも 自社の利益を優先した不正事案が起こるたびに私は ”海外マーケットから信用/信頼を失うのではないか" と不安が募るばかり...... 』 このように述べました。
そのような漠とした想いと
・ なぜこの「不正・不祥事」は起こったのだろうか
・ なぜこの「不正・不祥事」は発覚したのだろうか
この視点をもって
2020年「企業の不正・不祥事事案」をレビュー(Review)してみてください。
新たな思いがきっと沸き上がるはずです。
この思いこそが
「不正・不祥事」の ”再発防止に繋がる” ことになります......
]]>
前編は、主に管理手法の違いについてお伝えしました。
後編は、「レピュテーションの回復に必要な主な作業」と、「リスク管理」と「危機管理」の本質的な違いについてお伝えします。
この本質的な違いを認識できれば既存のリスク管理を打破する道筋と、その先に見えてくる扉を開くことができれば、革新的な管理スキームを手に入れることができます。
まずは、低下したレピュテーションを回復させる「リカバリー作業」ですが、この作業を誤れば業績に大きなダメージを与えることになります。
下記は、そうならないための主な作業です。
■レピュテーションの回復に必要な主な作業
※これは「レピュテーションマネジメント」です。
レピュテーションの低下は特に “防ごうと思えば容易に防ぐことができた” 事案で起きます。
“こんなリスク管理も出来ない、だらしのない会社だ” と疑われるからです。
逆に、防ぐことが困難だと思われる場合は大きなレピュテーション低下は起きません。
<主なリカバリー作業> ReCovery
(RC1)被害者や社会への謝罪(謝罪文の公表や謝罪会見など)
(RC2)被害者に対する被害の回復や救済
(RC3)公的機関への報告
(RC4)再発防止策の公表
などが必要になります。
(この作業は、前編のC1~C6と同時に行うことになります)
上記の作業はどれもレピュテーションに著しい影響を与えますが、特に「被害者に対する被害の回復や救済」は不満や不信が起きやすいため慎重な対応が求められます。
これらの作業のポイントは “直ぐにできるベターな対応” を行うことです。
※ ベターとは、被害者にとって良い対応を行うことです。
(会社のダメージを考慮しすぎてはいけません)
この場合のベストな対応は、危機に至る前にくい止めることです。
(起こってしまえば、ベストな対応は無いということです)
そして上記(RC1〜RC4)のリカバリー作業は危機管理部門だけでは行えません。
では、どのような他部門の協力が必要だと思われますか……
ご存じですか「リスク管理」と「危機管理」の本質的な違を
この本質的な違いを認識できれば既存のリスク管理の行き詰まり感を打破する道筋が見えてきます。
そしてその先に見えてくる扉を開くことができれば、革新的な管理スキームを手に入れることができます。
リスク管理と危機管理、どちらも “危うさ” の管理であるため基礎を成す管理能力は同じですが、管理手法はまったく違います。
<基礎を成す管理能力>
ⓐ 現状把握力
・分析力:結果に至った「要素」を分類する力
・解析力:「要素」を細分し、要因(真因や因子)を把握する力
ⓑ 予測力:知識や経験から未来を予測する力(論理的な予測)
ⓒ 想像力:予測を超えた世界を思い描く力
これらは管理を行うために欠かせない素養です。
【リスク管理】Risk management
危うい事態に至らないよう未然に防止する事前管理です。
毎年数多くの不正/不祥事を見聞きしますが、その多くはこの管理が適切に行われていないために起きた事案です。
適切に管理が行われていたなら、その多くは起こっていません。
【危機管理】Crisis management
危うい事態が起こった後に、その状態から素早く脱するための事後管理です。
皆さんが見聞きした不正/不祥事や危機的な災害などにはこの管理が必要になります。
このように「リスク管理」と「危機管理」はその目的に大きな違いがあるため管理の仕方が違うのです。
注)リスクを大別すれば2つのリスクに分けられます。
それは「loss Risk」と「profit and loss Risk」の2つです。
・loss Riskとは、故意や過失による事故・不正・不祥事や災害など“損失のみが起きるリスク”を指します。
・profit and loss Riskとは主に財務事案です。会社を取り巻く社会環境の変化でリスクが “損失だけでなく利益にも変わる” ことがあるリスクを指します。
(為替、金利、株価、投資、規制や規格などの変化によって変わるリスクです)
今回お伝えするリスク管理はloss Riskに対するものです。
では具体的な管理の違いについてお伝えします。
]]>注)お伝えする記事の内容は新型コロナウイルス(COVID-19)の現時点の感染特徴を基にしています。
(ウイルスが変異し強毒化した場合は対処法も変わります)
対処術の前編では
●「Ⓐ 経済を再生させつつ、Ⓑ 感染の拡大を抑える」ためのカギは
人間の行動心理を理解したうえで対処策を考えること。
その心理とは「不安を感じる心理状態では、経済は活性化しない」。
● 上記ⒶとⒷを行う主役は「あなた」。
そして、そのサポートを行う役割が「行政」と「事業者」である。
この三者がⒶⒷについて ”何が出来るかを考えること” が窮地から抜け出す対処となります。
▶行政と事業者は、「社会の安心と事業の継続」のために
出来ることを考える。
▶市民(消費者)は「消費の拡大と感染を抑える」ために
出来ることを考える。
このようにお伝えしました。
後編は、”何が出来るか” について述べたいと思います。
これは危機管理の手法です。
リスクマネジメントの管理手法では ”「何が出来るか」ではなく「何をすべきか」” と教えられますが、新型コロナの窮地から抜け出す対処法は ”「何をすべきか」ではなく「何が出来るか」” を考えることです。
迫りくる危機から身を守るには「直ぐに出来ることを行う」ことが重要となるのです。
まず認識すべきことは、
「不安を感じる心理状態では、経済は回復しない」これは ”ちからずくで経済回復” を進めても望む結果は得られないと言うことです。
※ 社会の安全がない限り経済の回復はありません。
その安全とは、安全を担保するワクチンや治療薬ができたときです。
だから真の経済回復はまだ先です。
社会の安全が担保できない現状では「経済の回復と、感染を抑える」この2つを同時に行うベスト(効果的)な対処策はありません。
「感染の抑えこみを優先すれば経済は縮小し、経済の拡大を優先すれば感染は拡大します」同時には行えないのです。
<余談ですが、感染症に対するベストな対処策は>
”危機に至らないように未然に防ぐ” とです。これがベストな対処法です。
だからベストな対処は「パンデミックを起こさない」ことです。
これが出来たのは「台湾、ベトナム、タイなど」ごくわずかな国です。
残念ながら日本を含め多くの国はパンデミックを起こしてしまいました。
その要因は「パンデミックに対する備えと、心の準備」が整っていなかったからです。
そのため対応がすべて後手になったのです。
ベストが無いのであれば「ベター」な対処に切り替えなければなりません。
ベターな対処は小さな効果しか得られませんが、小さいがゆえに数多くの対処が可能です。
このベターな対処を「積み重ね」てⒶⒷに近づけることが現状での方策です。
その方策とは......
]]>注)お伝えする記事の内容は新型コロナウイルス(COVID-19)の現時点の感染特徴を基にしています。
(ウイルスが変異し強毒化した場合は対処法も変わります)
新型コロナウイルス(COVID-19)(以下「新型コロナ」と表記)の第2波は各地で第1波をはるかに超える感染者を記録しましたが、政府は一向に新たな感染防止策を打ち出しません。(まるで万策尽きて為す術なしの状態です)
それどころか感染拡大に拍車をかけるようなGo To Travelキャンペーンを前倒しで開始しました。(更にはGo To EATキャンペーンの準備も進めています)
なぜ今 ”Go To キャンペーン” なの...... と思われますよね。
緊急事態宣言(外出自粛要請)による経済の大幅な縮小を回復させたい思いは理解できますが、感染拡大につながるようなGo To キャンペーンには疑問を抱きます。
なぜなら、新型コロナの感染は ”人と人との接触機会が増えれば、それに伴い感染が広がる” 特徴を多くの方が認識しているからです。
(逆に外出自粛で ”人との接触が減れば” 感染が縮小することも認識しています)
<この特徴は下記の行動を引き起こします>
? 経済の再生を図る目的で行ったGo To キャンペーンで
↓
? 感染が拡大し
↓
? 再び感染の不安が増す
↓
? この不安は自主的な行動自粛となる(消費行動は減少)
↓
? 再び経済規模は縮小する(これは望まぬ事態です)
このような事態が起こり経済の再生は期待できません。
「感染が拡大」すれば、必ず「不安が増大」し「消費行動の抑制」が起きます。
(このような望まぬ事態は回避しなければなりませんが...... )
これは人間の心理的行動で止めることはとても困難です。
? 消費行動が減少すれば感染が縮小し → 安心感が増し消費行動が活発に → 感染は再び拡大に
だから感染は増えたり減ったりを繰り返すことになるのです。
更に人は「得」をすることよりも「損」を避けたい気持ちが強く働きます。
これを旅行に例えると「お得な旅行をするよりも、旅行先で感染するのは避けたい」と考えるのです。
(それでも旅行をする方はいますが、これは欲求を満たしたい思いが強い方です)
これらは人間の心理で、人は「不安や損」を強く意識するのです。
この不安による行動の抑制を払拭するには「絶対安心」を与えるしかありません。
例えば
”有効なワクチンが開発されました” ”有効な治療薬が開発されました”
このようなストレートなメッセージが出せれば不安は直ぐに払拭されますが、現状はワクチンや治療薬を開発している段階で直ぐには期待できません。 (”年明けくらい” と言われてています)
このような状況下で、あなたは「経済を再生させつつ」・「感染の拡大を抑える」ために何をしなければならないと思われますか。
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新型コロナウイルス(以降、コロナ と表示)の感染が再拡大し連日過去最高の感染者数を記録する現状です。
この現状下で、
お住まいの地域で豪雨による災害が予想された場合、あなたは ”どこに” 避難をしますか。
コロナ感染は大都市を中心に既に再拡大が進み周辺都市に広がり初めています。
この状況では ”感染を意識した” 新たな避難手段を考えなければなりません。
いま感染者が少ない地域の方も他人ごとではありません、避難を機に感染が拡大するかもしれないからです。
▶ 感染を意識しなくてもよい場合の避難行動は、これまでにお伝えしました災害避難に関する下記の情報をご覧ください。
まずは豪雨の避難行動について
凄い雨が降ってきたからといって避難行動ができる方はまずいません。
避難行動は、その行動の動機付けになる「情報」が必要だからです。
「今後 ”どうなる” と言う情報」です。
これがなければ人は ”動かない” のです。(これが心理です)
この行動の動機付けになる情報は下記の二つで
・一つは「状況を示す」情報 (〇〇警戒情報、〇〇発生情報... など)
・もう一つは「行動を促す」情報 (避難勧告、避難指示、レベル... など)
この二つは共に防災情報ですが大きな違いがあります。
この違いは避難行動に大きな影響を与えることになります。
大きな違いとは ......
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前編は ”感染症への対処とは「何か」" についてお伝えしました。
後編は、従業員の安全(感染から守る)と安心を確保しつつ可能な範囲の事業活動を続けるために、具体的に「何ができ」「何をしなければならないか」についてお伝えします。
この対処は「業種・業態や業務内容」そして「現在の財務体力と今後の展望」によっても異なりますので、これらを複合的に考察して対処の戦略を練らなければなりません。
従業員の安全と安心を確保しつつ事業活動を続けるために
■何をしなければならないか
... それは ”従業員の行動とリスクをコントロールする” ことですが、これには決断を躊躇する場面がしばしば訪れます。
当然です経営者にとって体験したことのない感染症に対する危機管理が求められるからです。そしてこれは対岸の火事などではありません、すべての経営者は当事者で決断の時間も限られますので早期の判断が必要です。
例えば、”この感染症の危機をどのように捉えますか” 問われれば。
答えは下記のように大別できます。
・変革のチャンスが訪れた。
・財務力には余裕があるため乗り越えられる。
・早々に見切りをつけて会社を整理する。
・財務体力の限界まで頑張る。
どの判断も先が見通せないため不安ですよね。しかし最も駄目なのは決断ができないことです。
そのためには「会社にとって ”大事なこと/失ってはならないもの” を明確にしておく」ことです。
これは判断基準となるため決断力は飛躍的に向上します。
まず本題に入る前に認識していただきたいことがあります。
コロナ禍では ”「職場の安全」と「事業/経済活動」はトレードオフの関係にある” ことを忘れないでください。
・日常の業務活動に近づけば近づくほど、
・職場の安全は低下し、
・感染のリスクは高くなる。
逆に
・職場の安全を重視し、
・人との接触を減らせば減らすほど、
・事業/経済活動は低下する。
このことを理解したうえで、安全(リスクの低い行動)と安心を確保しつつ日常の業務に近づける工夫が求められます。
(この工夫が「業種、業態や業務内容、財務体力、今後の展望」などの状況で異なるのです。)
日常の業務に近づける工夫に必要となるのは、
新型コロナウイルス(COVID-19)の感染に関する知識とリスクの軽重です。
これを把握しなければ行動のコントロールはできません。
< COVID-19のリスクと感染の状況 >
感染リスク
(a)飛沫感染(密集、密接、密閉) → 感染リスク「高」
* 咳やくしゃみや会話で飛び散ったウイルスを吸い込むことで感染する。
感染予防をしていない感染者と1m以内で向き合い15分会話をすればほぼ感染します。
(b)接触感染 → 感染リスク「中」
* 咳やくしゃみや会話で飛び散ったウイルスが付着したモノに触れることで感染する。
これは湿度が高いほどウイルスの付着量が多くなる特徴があります。
(c)密閉された場所でのエアロゾル感染 → 感染リスク「低」
* 大気中に放出されたウイルスが漂っていて、それを吸い込んで感染する。
これは湿度が低いほどウイルスの漂う量が多くなる特徴があります。
(d)ウイルスと接触している時間(濃厚接触者)
接触している時間が長ければ長いほど感染リスクは高くなります。
濃厚接触者の定義:
感染者が症状を発症する2日前から隔離されるまでの期間に接触した者の中で
・感染者と2m以内で15分以上の接触をした者
・感染者と同一空間(車内、機内など)で長時間過ごした者
が濃厚接触者となります。
感染者の感染状況(参考)
WHOや米国学術誌が公表している情報を基にした推測です。
*海外での状況ですので参考としてください。
(e) 無症状感染者(発症前と無症状の感染者)
から飛沫感染をしたと思われる → 40〜55% ⤴増加傾向
*感染力は発症の1〜2日前が強力です、そのため多くは発症前の感染者から感染したと思われます。
(f) 発症後の感染者から感染をしたと思われる → 55〜30% ⤵低下傾向
(g)その他の感染(上記b、c) → 5〜15% ⤴増加傾向
※感染が鈍化し感染者が減少すると共に(f)は減少し(e)(g)の比率が増加すると思われます。
COVID-19夏場の感染力は弱い?
実験室で夏と冬に見立て「気温と湿度と紫外線量」を変化させて得られた結果では夏場に感染力は低下することが確認されていますが、一部の疫学者は ”感染力はさまざまな要因で変化する” ので一概に「夏場に弱いとは言えない」と伝えています。更になぜ ”シンガポールは感染が拡大した” とも伝えています。
私は、夏場の屋外では感染力が低下するが、冷房で快適な室内はその限りではないと考えています。
感染は どのような「状況」と「場所」で起こる
【飛沫感染】
通常会話では飛沫の飛距離は2m以内です。咳やくしゃみは更に遠くまで飛びます。
これらの飛沫を直接「口、鼻」で吸いこむことで感染します。
(だから咳エチケットとしてマスクをつけ、人に感染させるのを防いでいるのです。)
<起こりそうな場所>
会話が多く2m以内に人が居る場所です。
(A)コールセンター、食堂、会議室、事務作業オフィス、トイレなど
*仕事以外の場所は、カラオケ、飲み会、飲食、ライブハウス、トイレなど
【接触感染】
プラスティックやガラスやステンレスなどの金属表面では最長3日間ウイルスは生存しています。
手に付着したウイルスは、指で「口、鼻、目」をこすることで体内に入り感染します。
<起こりそうな場所>
ウイルスが付着したモノに触れる頻度が高い場所です。
(B)食堂や会議室のテーブル、事務作業の机、エレベーターのボタン、
会社のドアノブ、スイッチ、トイレ(便座やレバー)などや、
通勤電車のつり革など
*仕事以外の場所は、多くの人が使用するドアノブ、ボタン、スイッチ、便座やレバーなど
【エアロゾル感染】
大気中に放出されたウイルスはエアロゾルの状態で3時間は生存します。
空気中を漂うウイルスを吸いこむことで体内に入り感染します。
<起こりそうな場所>
人が密集する屋内で起こります。
(C)コールセンター、狭い食堂や会議室、狭い作業場、トイレや、
混雑する通勤電車/バスの車内など
*仕事以外の場所は、カラオケ、ライブハウス、トイレなど
どれも皆様が日常的に接している場所で感染するのです。
では、感染を ”どのようにして防げばよい” でしょうか......
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新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大を防止するため政府は4月7日から5月6日までの1ヶ月間、不要不急の外出制限を骨子とした「緊急事態宣言」を発令しました。
この緊急事態宣言を受け多くの企業と国民は懸命に取り組ましたが5月4日時点で “いまだ全国的に相当数の新たな感染者が確認されており、引き続き感染拡大防止の取り組みを続けていく必要がある” と政府は説明し、緊急事態宣言を5月31日まで延長する決断をしました。
既に1ヶ月以上にわたり経済活動が制限され疲弊の色を隠せない企業にとって、月末までの25日間の延長は事業存続に直結する恐れがあります。
かといって、ここで制限を緩めれば第二波の感染拡大が直ぐに起こり、企業や国民に甚大な影響を及ぼすことも予測されることから、企業経営者や政府首脳・各都道府県の首長は対処に苦慮しています。
最も望ましいシナリオはこのまま感染が減少し終息することですが、疫学の専門家はCOVID-19が終息するのは、ワクチンが開発されるか、国民の60%以上が免疫(集団免疫)を獲得するか、このどちらかで、早いと思われるワクチンでも1年くらいの時間を要し、その間、感染は拡大と減少を何度か繰り返すだろうと伝えています。
そのため今後は、感染拡大を防ぎながら経済活動も維持する対処が求められます。
では、そのためにはどのような行動が必要になるでしょうか。
今回は特徴が解明されつつある新型コロナウイルス(COVID-19)を主題とした、企業の感染症対処(BCP)についてお伝えします。
■感染症への対処
まず、感染症への対処策を考えるにあたり最初に必要となるのは、
▶ 新型コロナウイルス(COVID-19)の特性と特徴を把握することです。
※ これはリスクマネジメントにおける事実の把握にあたります。当然ですがこの特性・特徴が正確に把握できればできるほど効果的な対処策となります。
【感染症の特性】
パンデミックが起こるような感染症は人を介して感染する。いわゆる接触感染型です。COVID-19もこの接触感染です。
そのため基本的な対処行動は下記の2つになります。
(1)感染源には近づかない
(2)感染源を遠ざける
このように人の行動をコントロールすれば感染は防げます。
課題はどのようにして行動をコントロールするかです。
<感染症への対処、最初の行動は>
・目指すべき最良のゴール(あるべき姿です)を定め
・最善の方法で人の行動をコントロールする
これを最初に考えなければなりません。
※ 求める結果が出ず困惑に陥った場合は「あるべき姿」を描き直してください。
【最良のゴールとは】
感染症において最良のゴールは、「いち早く普段の生活を取り戻すこと」です。
そのためには感染者全員を隔離する、これができれば可能です。
「市中に感染者がいない」これなら普段の生活が送れます。
そうなれば経済的ダメージも起こりません。
感染症によるパンデミックはこれまでに何度か起きています。
そして新たなパンデミックはいつ起きても不思議ではないとWHOは事あるごとに伝えていました。
“新型インフルエンザは必ず起きる” 耳にしたことがあるはずです。
にもかかわらず、日本では感染者の隔離施設すらまともに確保できていないことが露呈しました。
なぜ準備がおろそかだったのでしょうか。
その要因は二つ考えられます。
一つは、「意識が低い」 ”喉元過ぎれば熱さを忘れる” です。
もう一つは、「ゴールが描けていない」ことです。
目指すゴールがなければ、適切な行動がイメージできるはずがありません。
「感染の拡大を防止する」これはゴールではありません「結果」です。
では最良のゴールに向かうための “最善の行動とは” は何でしょうか......
2020年代は不確実性の時代
(不確実性:経済分野で話題となる事象は起こるとは限らない概念語)
そんな時代のスタートに際し、重大な不正や不祥事を起こさないための基礎的な「知識」と「意識」をお伝えします。
この知識と意識は、不正・不祥事を繰り返し起こす会社に共通する負の特性や要素でリスク管理のキホンの「キ」にあたるものです。
建物に例えれば基礎の部分で、基礎がしっかりしていなければその建物は脆弱です。
脆弱な基礎の上に建つ建物は不安定でいつ崩れ落ちても不思議ではありません。
だから今すぐ基礎の補強が必要です。これは会社も同じです。
「会社は人なり」よく耳にする言葉で何度か聞かれたことがあるばずです。
これは ”会社を「良くする」も「悪くする」もそこで働く「人」で決まる” と言う意味で、「人」にあたる部分は、会社の「経営」と「運営」に関わる ”リーダーの資質” を指しています。
このリーダーの資質で、経営に欠かせない「5っの資産」がどうなるか決まるのです。
(資産とは、”資金・人財・パートナー(協力者)・顧客・信用” の5つです)
少し本筋から逸れますが、
このあと「改革への警鐘」を理解するために必要な「会社の経営と運営」と「役割と目的」について説明します。
経営:ここでは会社の経営陣(役員)を指します。
運営:ここでは組織の長(部長や課長など)を指します。
まずは「経営」と「運営」の役割です
・経営の役割は
事業目的の達成のために「人・モノ・カネ」を活用し、目的に沿った意思決定を行い最善の策を実行し収益の最大化を目指します。
(事業スキームを作り、管理・遂行し利益を得る役割と権限と責任がある組織体。これが経営陣です)
・運営の役割は
与えられた各組織の機能を最大限に発揮できるように「人・モノ・カネ」をコントロールします。
(与えられたものを最大限に活用し、効率を追求する役割と権限と責任があるのが運営側の組織です)
どちらも「人・モノ・カネ」を管理するのは同じですが、役割と権限と責任は違います。
・経営陣のミッション
最大の使命は、限られた条件で収益の最大化を図ること。
・運営側のミッション
最大の使命は、与えられた条件で最大限の効率化を図ること。
(直接 ”収益” は問われませんが、間接的に「効率/生産性」という形で関わることになります)
これらが長年いわれてきた「経営陣」と「運営側」の役割と権限と責任でした。
ところが、この役割に変化が生じているのです。
何が変化したと思われますか......
(この変化が不正・不祥事に大きく関わるのです)
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2019年の年頭に予測しました ”2019年 企業不祥事の予測は「減少」する” この予測はハズレてしまいました。
減少どころか ”2018年と同等の発生数” という残念な結果でした。
(2016年8件、2017年15件、2018年 27件、2019年 26件)
なぜ ”減少する予測” がハズレてしまったのか。
私は18年の不正・不祥事の多発(27件)で消費者のCSR(企業の社会的責任)に対する意識が高まったことで、19年は経営に携わる各員の危機意識が高まり ”不正・不祥事の抑止効果が起こる” だから減少すると考えていました。
しかしこの抑止効果に関する読みが浅かったのです。もう少し深堀が必要でした。
それは、19年に起こった不正・不祥事の多くが、19年に起こったものではなく ”長年にわたり続けられてきた行為” がたまたま19年に発覚したものだったのです。
これから起ころうとする行為に対しては抑止が期待できますが、既に行われている現在進行形の事案に効果はありません。ここが予測のハズレた大きな原因です。
※ 抑止効果が期待できるまで、まだ2〜3年必要かもしれません。
それともう一つ発生が増加しうる要因があります。
もしかすれば、増加に至る本命はこちらかもしれません。
その要因は ”なぜこの事案が発覚/露呈したのだろう” と想像すれは見えてきます。
新聞などで報道されている事案内容をじっくり眺めてみてください。
この事案「内部の関係者が告発しない限り表に出ることはない」。このような事案が多いことに気が付くはずです。
では、不正・不祥事があからさまになれば、経営に大きな影響を及ぼすことが明白であるにもかかわらず、なぜ内部の関係者は告発に踏み切ったのでしょう。
何だと思われます......
]]>前回の、” LCP、豪雨「避難のタイミング」” は、「危機意識・知識・情報・個人事情」で決まるとお伝えしました。
そして、その中でも最も重要なのは「危機意識」で、この危機意識が高まれば ”「知識」「情報」は自然と集まる” と伝えました。
2019年10月11〜12日に 東海 → 関東 → 東北 と通過した台風19号、この台風は記録的な大雨により各地に甚大な被害をもたらしました。
特に、夜中に関東から東北を通過したことで、人的な被害が大きかったことが特徴です。
そして私は、これを夜間の災害に対する教訓として活かさなければならないと思いました。(夜間の避難は「見えない危険」との戦いになります。だから昼間より危険が高いです。)
■ 豪雨から身を守るための知識
< 見えない危険の回避 >
▶ 同じ場所にいても「危険は異なる」
危険回避の行動は個人の自主的な意思で行うもので ”周りの様子” を伺いながら行動するものではありません。
なぜなら、同じ場所でも個々の事情により危険は異なるからです。
例えば、
お年寄と若者では事情( 判断力・動作・持続力など)が異なるため、同じタイミングでの避難とはなりません。(避難所に到着するまでのスピードが違います。)
だから、周りが避難をしていないから「大丈夫」だとは言えません。
当事者は、「周りの状況」と「置かれている個々の状態」を見ながら「危険」の判断をし、行動することが求められますが、この危険は、直接目にすることが出来ない危険です。
このような目に見えない危険は、他にも沢山あります......
]]>
毎年、日本のどこかで起きている豪雨災害。大きな被害とともに逃げ遅れたことで亡くなられた方も少なくありません。
悲運にも亡くなられた方のニュースを目にするたびに ”なぜ救えなかったのだろう、どうすれば救えたのだろうか” と考え込んでしまいます。
突然発生する地震からのがれるのは困難かもしれませんが、高い確率で予測がつく「台風」や「大雨」からはのがれることができるはずです。
今回は、どうすれば「のがれることが出来るのか」リスクマネージャーの目線でお伝えいたします。
下記は近年起こった豪雨による災害です。
2019年 台風15号・台風19号 関東直撃
・2019年10月11〜12日 台風19号(大雨による被害が大きかった)
関東甲信地方、静岡県、新潟県、東北地方で豪雨となり過去最大の被害をもたらした。
記録的な豪雨は各地で河川の氾濫と堤防決壊などの大規模な水害をもたらした。
(堤防の決壊は71河川140か所、土砂災害884件、住宅被害8万2341棟、線路被害254路線、医療施設被害222施設、死者92人、行方不明3人など)
・2019年9月5〜9日 台風15号(強風による被害が大きかった)
千葉市で最大風速35.9メートル、最大瞬間風速57.5メートルを観測。
1時間の降水量は、静岡県伊豆市天城山 109ミリ、東京都大島町大島 89ミリなど。
(千葉県では強風による甚大な被害が発生。家被害は全壊198棟、半壊1958棟、一部破損33377棟 及び、大規模な停電と断水などが起こった)
2018年6月28日〜7月8日 西日本豪雨
西日本の岡山県、広島県、愛媛県、中部地方を中心に北海道も含めた広い範囲で記録的な大雨。
11府県で大雨特別警報が発表。この間の総降水量は四国地方1800ミリ、中部地方1200ミリ、九州地方900ミリ、近畿地方600ミリ、中国地方500ミリを超えた。
(死者224名、行方不明者8名、負傷者459名、住家全壊6758棟など)
2017年7月5日〜6日 九州北部豪雨
福岡県朝倉市(3時間で約400ミリ)など、筑後地方北部や佐賀県鳥栖市、大分県日田市などで1時間に100ミリを超える大雨。
(福岡、大分の両県で死者40名、行方不明者2名、全壊336棟、半壊1140棟、床上浸水180棟、床下浸水1481棟など)
2016年 東北・北海道豪雨
8月17日〜23日の間に3つの台風が上陸。北海道南富良野市では堤防の決壊で大きな被害が出た。
8月30日には、岩手県大船渡市に上陸した台風10号による豪雨で、岩泉町では1時間雨量が70ミリ、3時間雨量が138ミリとなった。
また、北海道では8月29日〜31日までの雨量が日高山脈周辺で300ミリを超えた。
2015年 関東・東北豪雨
9月9日〜11日にかけて関東北部から東北南部を中心として24時間雨量が300ミリ以上の豪雨。
茨城県常総市では鬼怒川が決壊し、死者12名、負傷者40名のほか浸水により全半壊家屋5000棟などの被害だ出た。
2014年8月20日 広島豪雨
8月19日〜20日 広島市を中心としたごく狭い範囲で集中豪雨が発生。
3時間降水量は200ミリを超え、土石流107ヶ所、がけ崩れ59ヶ所が同時多発的に起こった。
(死者74名、行方不明者8名、負傷者44名、住家全壊133、半壊297など)
このように、毎年どこかで豪雨による大きな災害が起こっているのです。
あなたの身近で、いつ起こっても不思議ではありません。
では、豪雨への備えは 何をしなければならない のでしょうか......
]]>
前回の記事は、年金制度は「どのような状況」で、将来「どのようになりそうか」についてお伝えしました。
それを短く表現すれば、年金は不確実性の時代を迎え「安心は約束されていない」となります。
しかし、こんな年金でも ”ないよりはまし” と前回記事の文末でお伝えしました。
なぜ ”ないよりはまし” なのか
まず年金の議論をすれば、必ず下記の二つが上がります
(a)年金の「公平性」と
(b)年金の「損得勘定」
しかしこの議論は ”むなしい” だけです。
昔と今を比較しても状況が異なるため意味がありません。
(昔がよかったこともあれば、今がよいこともあります。短い人生のほうがよかったでしょうか。)
(a)「公平性」の議論をすれば、所得代替率の話が出ます。
所得代替率の推移は 1965年 36% → 1969年 45%
1989年 69%(過去最高)→ 1994年 68% → 2000年 65%
2004年 59.3% → 2014年 62.7% → 現在 61.7%
良い年もあれば悪い年もありますが、今後は更に低下すると予測されています。
(b)「損得勘定」の議論では、「保険料(掛金)」に対して「いくら戻ってくる」かを計算したくなりますが、これは正確には計算できません。
なぜなら、何歳まで生きたかによって「戻ってくる金額」が大きく違ってくるからです。
◆国民年金(基礎年金)を試算すれば(現水準)
*保険料は月額16900円、受給額は月額65000円です。
単純計算で、保険料は年間で202,800円で40年間収めれば、約811万円
受給額は、65歳から10年間受け取れば 約779万円、20年間受け取れば 約1559万円 となります。
(保険料を1年間収めれば、もらえる年額が年19500円ずつ 積み上がって行きます)
仮に保険料を20年間収めれば、保険料は 約405万円で受取額は年額 約39万円。
10年受け取れば約390万円、20年では約780万円となります。
◆厚生年金(基礎年金を含む)を試算すれば
*厚労省が公表している数値をベースに試算。
(計算はモデル世帯、所得代替率は50%、現役世代の平均手取額 42万円で計算)
2000年生まれの方が22歳〜65歳までに収める保険料は約2000万円
*個人負担が2000万円で、同額を事業主も負担しています。
65歳〜90歳までの25年間の受給額は約6300万円となります。
*この額には、夫の厚生年金と基礎年金、妻の基礎年金が含まれています。
(10年間であれば受給額は約2520万円です。520万円多くなります。)
注)かなり乱暴な計算ですので、個々の詳細は年に一度郵送されてくる「ねんきん定期便」で確認ください。
※ 年金を受け取るには受給要件を満たさなければなりません。
その要件は国民年金と厚生年金で異なりますのでご注意ください。
平均寿命の比較は、
・1970年代は、女性75歳、男性70歳
・現在は、女性87歳、男性81歳
給付期間は現在の方が女性で約12年、男性で約11年長くなりました。
このことを損だと捉えますか。
更に公的年金には、保険の要素がプラスされます。
その要素は......
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金融庁の金融審議会市場WGが2019年6月3日付の老後報告書で ”高齢夫婦無職世帯の平均的な収支は月額約5万円の不足が発生する。これが30年間では約 2000万円を老後資産から取崩すことになる” と報告したことで、年金不安が広がり社会問題になりました。
この問題に対して金融庁は、”過度な年金不安を治めるため” 6月の老後報告書を撤回しました。
ご覧の皆様は、この老後報告書の撤回をどのように受け取りますか?
老後の資金は30年間で「2000万円も必要ない」又は「3000万円は必要である」このどちらでしょうか。
(2000万円の必要性を撤回しのですから、このどちらかです)
そこで今回は、「年金の将来はどうなるのか」そして「老後の生活資金はどれくらい必要か」についてリスクマネージャーの立場から推測してみました。
■年金は将来どうなる
”年金は100年安心” とか ”年金は壊滅している” など、さまざまな情報や憶測が流布したことで、年金と聞くと多くの方は反射的に「不安」だとイメージされるのではないでしょうか。
この不安、老後の生活資金は公的年金が柱になると考えているからです。
特に厚生年金の方はそうだと思われます。(私もそうです)
まず、年金の ”100年安心” とは
この言葉は、2004年の年金制度改革関連法を成立させたいためのキャッチコピーとして、当時の自公政権が生み出した言葉です。
この制度は、
(1)保険料は「国民年金」で1万6900円 (2004年度水準の価格) 以上には引き上ない。
(2)厚生年金の保険料率は18.3%に留める。(これを労使で折半する)
(3)モデル世帯の「厚生年金の支給」は、現役世代の平均給料の50%以上を確保。
と宣言し、これを100年先まで維持すると言ったのです。
だから、老後の生活は公的年金があれば ”何とかなりそうだ” と、期待が膨らんだのです。更に100年安心と言われれば、より期待が増すのも当然です。
それが今になって、 ”年金だけで生活ができる” とはどこにも書かれていないとか、”100年安心” は受取り側の誤認だとか、言われたら戸惑いますよね。
この戸惑いに対処するには、
将来の公的年金制度がどのように変化しそうかを推測し対処するしかありません。
<年金の現状>
公的年金の財源と収支額は、どうなっている
・支給総額: 国民年金と厚生年金で約55.4兆円(17年度)
(国民年金:保険料収入は34%、税金負担が45%、21%はその他でカバー)
(厚生年金:保険料収入60%、税金負担が19%、21%はその他でカバー)
・歳入額 : 38.5兆円(現役世代の保険料収入:支給総額の70%)
12.7兆円(国庫負担:支給総額全の23%)
GPIF: プラス約10兆円(年金資産の17年度運用益)
*GPIFの10兆円の益がなければ、17年度は約4兆円のマイナスでした。
(38.5+12.7)- 55 =マイナス4兆円 GPIFの運用益は+や−になるリスクが伴う。
・年金の積立残高:164兆円(17年度末の時価ベース)
そして、日本の年金制度は賦課方式(世帯間扶養)を採用しています。
(自分が支払った保険料が、将来年金として自分に戻ってくる積立方式ではありません。)
この方式は
(a)年金保険を収める人口(20歳〜65歳の人口)と(b)年金を受け取る人口(65歳以上の人口)で、(a)が(b)の年金を負担しています。
そのため、保険料を支払う現役世代の労働者と、年金を受け取る高齢者の人口比率が制度維持にはとても重要となります。
年金は「安心なの」「不安なの」......
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「闇営業問題」をめぐる一連の騒動を、私は “お家騒動” だと思いながら眺めていましたが、そうも言っていられない事態に突入してしまいました。
それは、7月22日に行われた吉本興業(以下は「吉本」と表記) 岡本昭彦社長の会見の翌日に行われた政府の定例会見で “吉本興業を非難する発言” が相次いだからです。
・柴山文部科学相は、
「文化の健全な振興の観点からもガバナンス、コンプライアンスは極めて重要だ」と批判。
・平井科学技術担当相は、
「コンテンツ制作者として非常に有力な企業であり、法令順守の徹底や説明責任を期待せざるを得ない」と発言。
・公正取引委員会の山田昭典事務総長は
「所属タレントとの契約書がないことは、競争政策の観点から問題があり、著しく低い対価での取引要請になり得る」と指摘。
・宮腰沖縄担当相は、
沖縄の在日米軍施設・区域の跡地利用を検討する有識者会に吉本の大崎洋会長を任命したのだが…… 。
などの発言が起きました。なぜこのような発言が起きたのでしょうか。
それは、この事業にあります。
吉本は政府が進める海外需要開拓の一環として進められている教育事業「Laugh&Peace_Mother (沖縄に事業運営会社を設立、2019年10月事業開始)」に参画することが決まっているからです。
そしてこのLaugh&Peace_Motherには「クールジャパン機構」から最大100億円(税金)の出資も決まっています。
■Laugh&Peace_Mother(ラフ(笑い)&ピースマザー)とは
「NTTのICT技術と、吉本のエンタメ力と、クールジャパン機構の海外支援事業ノウハウを融合させ、遊びと学びがコンセプトのプラットフォームで、国内とアジアを中心とした海外に教育コンテンツを配信する事業です。
主なコンテンツは「子供向けの教育コンテンツ」で吉本が担当することになっています。
政府は100億円もの税金をこの事業に投入するのです。
だから政府関係者は「 “振る舞いや言動” は、税金を投入するにふさわしい企業でなければならない」と吉本に苦言を呈した…… いや、これは苦言ではなく警告かもしれません。
なぜなら、政府も社会から下記のような非難を受けているからです。
・過去にも吉本は反社会的勢力との繋がりによる不祥事を起こしている。このような企業が教育事業に参加し政府の出資(税金)を受けるのは、おかしくないですか?
・なぜ安倍首相は吉本の舞台に登壇するほど仲良しなのですか?
・政府は吉本の身体検査をしたのか疑問です?
これらの ”的を射た非難” は、政権に対する社会の風向きを変える雰囲気を持っていました。
だから政府は、第3の「モリカケ問題」に発展するのを恐れ素早く手を打ったのでしょう。
しかし、吉本でほんとうに大丈夫......
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芸能事務所やプロダクションに所属している芸人による「闇営業問題」が連日メディアで取り上げられ社会問題に発展しました。
中には ”それは違うだろう!” と言いたくなるような報道もあり論議も白熱化しています。
では、この闇営業問題。「何が問題」で「何をしなければならないか」についてリスクマネジメントの専門家としての考えをお伝えします。
(これは副業を容認している企業でも起こりえる問題です)
まずこの問題の根底とるのは、安全で安心して暮らせる社会を実現するために各都道府県が定めた、「暴力団排除条例(暴排条例)」や「暴力団排除条項(暴排条項)」に記述されている、事業者が何だかの契約を結ぶ場合、”契約相手が反社会勢力でないことを確認しなければならない” と言う点にあります。
改めて述べることではないとは思いますが、反社会勢力は暴力や威力や詐欺的行為で経済的利益を得ている組織や集団で、”庶民の社会生活を脅かす存在であるためその活動を助長させてはならない” と定めています。だから反社会勢力に加担するような行為は社会問題になるのです。
少し乱暴な表現をすれば、契約の相手が健全な団体や個人であれば、闇営業が社会的問題とまではならなかったはずです。
本題に入る前に言語の共有をさせてください。
(これは誤った理解を防ぐためです)
闇営業とは、
所属する事務所やプロダクションと交わした契約書に、「仕事は事務所を通さなければならない」と書かれているにもかかわらず、仕事の依頼を事務所を通さず直接受ける行為を指します。
(事務所の了解がえられていない仕事です。だから「闇」なのです。)
直(チョク)営業とは、
所属する事務所やプロダクションを通さずに仕事の依頼を受けることを指します。
契約書で「直接仕事の依頼を受けることを禁じていない」のであれば直営業はOKということになり「闇」ではなくなります。
語弊があるかもしれませんが、”契約書に「直営業を禁じる」条項が書かれていない” このような契約書は多いはずです。
なぜなら、一般的に芸人は労働者ではなく個人事業主として扱われます。
(一部例外はあります)
労働者ではないので最低賃金や賃金保障の制約も受けません。
この個人事業主に対して ”直営業を禁じる” と明確に表現すれば、個人事業主の仕事を制限することになり、事務所側は個人事業主に何だかの補填をしなければならなくなりコストが発生します。
だから直営業が ”OKとも、NGとも” 書きたくないのです。
芸能事務所やプロダクションは、
芸人の「有料職業紹介事業所」となっており、テレビなどに芸人を斡旋する業務とみなされています。仕事先から求められる芸人の紹介や斡旋をすることで手数料を得るビジネスモデルです。
ここからが本題です......
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金融庁の金融審議会市場ワーキンググループが2019年6月3日付の報告書「高齢社会における資産形成・管理(全56ページ)」(通称:老後報告書)内に記述された「2000万円」が必要以上にフォーカスされ、各メディアが大きく取り上げたことで社会問題に至りました。
そこで今回は、この「年金2000万円問題」の何が本質的な問題なのかを深堀します。
まず最初に、上記の報告書には各メディアで取り上げられた、老後の生活には「約2000万円が必要」と明確には書かれていません。
(単に平均値に基づく高齢者の家計の試算を示したものです)
.....................................................................
【報告書に書かれている内容】
・報告書の10Pに
報告書の(2)収入・支出の状況で述べた、高齢夫婦無職世帯の平均的な姿で見ると、毎月の赤字額は約5万円となっている。
この毎月の赤字額は自身が保有する金融資産より補填することとなる。
・報告書の16Pに
老後の生活においては年金などの収入で 足らざる部分は、当然保有する金融資産から 取り崩していくこととなる。
65 歳時点に おける金融資産の平均保有状況は、夫婦世帯、 単身男性、単身女性のそれぞれで、 2,252 万円、 1,552 万円、1,506 万円となっている。
(2)で述べた収入と支出の差である不足額約5万円が毎月発生する場合には、20 年で約 1,300 万円、30 年で約 2,000 万円の取崩しが必要になる。
・報告書の21Pに
夫 65 歳以上、妻 60 歳以上の夫婦のみの無職の世帯では毎月の不足額の平均は約5万円であり、まだ 20〜30 年の人生があるとすれば、不足額の総額は単純計算で 1,300 万円〜2,000 万円になる。
この金額はあくまで平均の不足額から導きだしたものであり、不足額は各々の収入・支出の状況やライフスタイル等によって大きく異なる。
.....................................................................
このように、夫 65 歳以上、妻 60 歳以上の夫婦のみの無職の世帯の平均的な収入・支出の不足額は約5万円だと言っているのです。
当然これは、老後どのような生活をするかによって変わってくるし。預金などの金融資産の状況によって、5万円の不足などなんだ問題ない世帯もあるはずです。
そして、老後の生活資金が不足すると思われるのであれば ”資産寿命を延ばす工夫が必要” だと伝えているのです。
「高齢社会における資産形成・管理」の報告書は、事実に基づき作成された「現状と課題がよく整理された報告書 」だと私は感じました。
一部の専門家は ”個々の老後資金を平均値で語るな、誤解を招く” と叫んでいますが、具体的な数値がなければリアル感も危機感も生まれません。何も感じないような報告書であれば無いのと同じです。
(個々によって大きく状況が異なる数値は平均値を用いて表現するしかありません)
では、この「年金2000万円問題」の何が問題なのか......
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初めに申し上げておきますが、不正・不祥事の多くは ”人の資質” により起きるものです。
そして長期にわたり事業を運営していれば、不正・不祥事の事案の軽重は別として、いつか必ず遭遇します。
この遭遇確率は、働く従業員の数が多くなればなるほど高くなります。
そしてもう一つ、利益を得ようとすればするほど、これも高くなります。
(これは長年リスクマネジメントの仕事に携わることで得られた体験です)
これをシンプルに表現すれば、”少数の人員で運営し、利益も追求しない” このような運営方針でない限り不正・不祥事は起こると言うことになります。
しかし、従業員の数は別として、利益を追求しない経営はありません。
経営者の最大のミッションは利益の最大化ですが、この中に ”「適切な手法を用いて」利益の最大化を実現する” この言葉が隠れています。
この「適切な手法」、これを阻害する甘言や誘惑があるのです。
俗にいう「悪魔のささやき」です、この ”ささやき” と経営者は葛藤することになり、葛藤に敗れた経営者は不適切な手法に手を染めることになります。
ここに人の資質や心理が大きくかかわってきます。だから不正や不祥事の防止は厄介なのです。
では、不正や不祥事と向き合うことになる経営者には、どのような行動が求められるのでしょうか。
求められる行動を大きく分ければ二つです。
その二つとは......
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ドキッとするタイトルで、驚いている方もいると思います。
しかしこれをご覧になれば、その意味が理解できるはずです。
まず、重大な不正・不祥事を起こした企業の社長(最高経営責任者)を「社会」や「当該従業員」はどのように見ているのでしょうか?
※ 重大な不正・不祥事とは組織的に行われていた事案を指します。
それは、少し視線を変えて見るとわかりやすくなります。
[A] 一つ目の視線は「株価の変動」です。
重大な不正・不祥事は株価に影響を与えます。これは投資家による影響が大きくIR(Investor Relations)の作用によるものです。(株価の下落です)
株価はその会社の経営実情を表わしており、投資家はその状況に敏感に反応します。
株価が下落すると言うことは、投資家は投資する価値が低いと判断したためで、経営陣に対する評価です。
その株価が下落し続けると言うことは、その会社の期待が低くなった証です。
[B] 二つ目の視線はマスメディアの「報道」です。
※ 報道記者の目は社会の目。報道記者は社会の代弁者です。
重大な不正・不祥事が起これば、メディアは必ず社長の責任問題を追及します。
・なぜ不正・不祥事が起こったのか?
・いつ不正・不祥事を把握したのか?
・なぜ防ぐことが出来なかったのか?
・これから何をどうするのか?
これらは社長の責任を追及するための定番の質問ですが、このような質問に対し、当事者である社長が適切に答えられることはまずありません。
なぜなら、これらは適切な管理が出来ていないために起こった問題だからです。
言い換えれば、適切な管理が行えていれば起こっていないからです。
(信頼の低下です)
三つ目は更に重要な問題です......
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いわゆる「バカッター・バイトによる不適切動画テロ」が再び起こり社会問題となっています。
今回問題となった不適切動画は、2018年〜2019年2月に起こったものですが、同様の不適切動画は2013年にも多発し社会問題化した経緯があります。
2018年〜2019年2月:スシロー、セブン-イレブン、ビックエコー、すき家、くら寿司、ドミノピザ、バーミヤン、ファミリーマート、大戸屋など...
2013年:ローソン、ピザハット、ブリンコビリー、そば店、餃子の王将、成田空港の土産物店など...
(これらの不適切動画は今でもネット上に残り、見ることが出来ます。)
被害の当事者となった経営者はこの問題に対し頭を抱えていますが、果たしてバカッター・バイトにだけに問題があるのだろうか...
そして再発防止には、何が必要となるのか...
その答えは、少し視点を変えれば見えてきます。
◆不適切動画はアルバイト店員の問題?
この問題は、動画をSNSに投稿しなければ社会問題にまで発展することはなかったはずです。
そして、動画投稿の多くは学生(大学生・高校生)のアルバイト店員が行っています。
この点を捉えれば、安易にSNSに投稿したアルバイト店員の問題だと言えます。
不適切動画の投稿は、なぜ学生のアルバイト店員が多い。
メディアは、「倫理に反するようなバカな行為は、仲間に ”うける” し ”いいね” もたくさん得られ承認欲求が満たされる。( ”今の若者は特に承認を求める傾向が強い” と報じています。)
だからカメラを向けられると、つい ”うけ狙いの行動” を行ってしまう」と分析し、安易な行動は「理性」と「想像力」の欠如だとメディアは伝えています。(この点は私も同感です)
しかし、”「理性」と「想像力」の欠如” がその要因であるとするならば、アルバイト店員による不適切動画の投稿はもっと多く起こっているはずです。
また、同年代の正規従業員や非正規従業員(契約社員、派遣社員)でも起こるはずですが、見当たりません。
と、言うことは、不適切動画の投稿に至る「要因」はまだ他にあると言えます。
この要因を見つけなければ再発を防ぐことは出来ないでしょう。
その要因を探るための注視すべき点は......
]]>正しくは的中したというより ”予測した以上の多さで” ここまで多発するとは思ってもいなかった。というのが本心です。
「真面目で勤勉で忠実」だから品質の良さが世界に認められた。
これが日本企業の特徴でしたが、このような状況が続けば日本の企業は世界から信頼を失い淘汰されるでしょう。(価格で勝負すれば負けますよね)
では、本題の2018年不正・不祥事のレビューを致します。
件数は17年に比べ12件増の27件で約倍増です。
(下記は、私の独断と偏見で ”社会の信頼が著しく低下する” と思われる事案を抽出したものです)
・ソフトバンク 今年3度目の「重大事故」
・日産 カルロス・ゴーン会長逮捕
・日立化成 半導体素材の改ざんと鉛電池の検査データの改ざん
・商工中金(商工組合中央金庫)危機対応融資で5万2935件の違反が発覚
・KYBと子会社のカヤバシステムマシナリー 免振・制振装置の数値改ざん
・昭和大医学部入試 2013年から受験生の得点を操作
・スバル 出荷前の完成車の「ブレーキ検査」などでも不正が発覚
・月刊誌「新潮45」休刊 LGBTの論考で批判を受け休刊に追い込まれる
・スルガ銀行 投資用アパート向け融資でも「不適切融資」不正拡大
・スズキ・マツダ・ヤマハ 完成車検査での不正が発覚
・日本大学チアリーディング部監督 女子部員に対するパワハラで解任
・ヤマトHD 法人の引っ越し代金を過大請求
・日本マクドナルド 景品表示法違反(優良誤認)で措置命令を受ける
・東京医科大 入学不正(贈賄罪、裏口入学、女子受験生差別)問題
・三菱UFJモルガン・スタンレー証券 国債特別参加の資格停止
・日産 「排ガスデータ」「燃費データ」の改ざん不正が発覚
・三菱マテリアル 本社でも不正が発覚
・日本大学アメフト部 危険で悪質なタックル問題
・スルガ銀行 シェアハウス オーナーの融資書類の偽造にスルガ銀の行員が関与
・商工中金(商工組合中央金庫)不正の追加調査で新たに577件の不正が発覚
・スバル「燃費データ」「排ガスデータ」の書き換え不正が発覚
・日本年金機構 約95万件の年金入力ミスが発覚
・川崎重工業 新幹線のぞみの台車枠で破断寸前の亀裂問題
・三菱マテリアル 製品データ改ざんの公表後も、不正が行われていたことを公表
・京都大学 昨年実施された2次試験で出題ミスがあり17人不合格問題
・ゼネコン4社「大林組、清水建設、大成建設、鹿島建設」リニア新幹線を巡る談合
・大阪大 昨年の一般入試での出題と採点ミスで30人不合格問題
(1事案で複数の不正が含まれている場合でも、1件としてカウントしています)
2018年の不正や不祥事の特徴は、製造所の製品品質に関する不正が9件と多発したことです。
(16年以前は年間2〜3件。16年3件、17年6件、18年9件)
あってはならない、製品の品質に関する不正がなぜ近年多発するようになったのでしょうか。
これには他の事案とは異なる、特殊な裏事情が隠れているからです。
不正に走らせる特殊な裏事情とは......
]]>そして、それが社内で共有されていますか?
(管理職であれば何だかの業務を管理する役割があるはずです)
業務権限と役割の明確化が出来ていないなら
その組織はただの人の集まりで、不正や不祥事が起こるのは必然です。
むしろ、不正や不祥事が起こらないのが不思議です。
なぜなら、権限と役割が不明確ということは、責任も不明確で責任に対する意識も低いからです。
<組織とは、ある目的を達成するための集団です>
そこには必ず個々に役割があります。
そして、上司となる者には役割を成し遂げるために権限が与えられます。
(部下に指揮命令ができる権限と、予算を使うことができる権限です)
俗な言い方をすれば、「人」と「金」が与えられるのです。
この権限と同時に、権限に応じた「責任」が発生します。
役割が多ければ権限も大きくなり、当然ですがその責任も大きくなります。
それと上司には、部下に指示をした業務を管理/チェックをする責任も生まれます。
(業務の進捗とその方向性で、遅れやズレがあれば軌道修正する役割と責任です)
では部下には、
どのような「役割」と「権限」と「責任」があると思われますか。
それは......
]]>今回は、組織に ”どのような事態が待ち受けている” のかをお伝えします。
まずは、組織内で起こったハラスメントは早期に掃討しなければ周囲に伝染します。
(思考停止がインフルエンザのように広がるのです)
そして組織内にハラスメントが蔓延すれば、モラルや道徳心が失われます。
本年不正が発覚したスルガ銀行はこのような状況だったと思われます。
スルガ銀行 第三者委員会が2018/9/7に公表した不正事件の調査報告書(公表版)から、
”経営陣によるパワハラは数年前より日常的に行われ、それに伴い不正が常態化していった。多くの行員はパワハラや不正を目にしていたが報復を恐れ声を上げれなかった” このようなことが報告書には書かれています。(調査報告書は添付を含め全338ページ)
代表的なパワハラ行為は、
・他の社員の前で叱責を受け1ヶ月間無視された。
・「死ね給料どろぼう、ビルから飛び降りろ」といわれた。
・首を掴まれ壁に押し当てられ、顔の横の壁を殴ってきた。
・毎日2〜3時間立たされ怒鳴り散らされ、椅子を蹴られた。
・怒鳴り続けられ昼食も2週間ぐらい行かせてもらえなかった。
・毎日夜11時過ぎまで仕事を押し付けられた。
・うつ病になり銀行を1年8ヶ月休職した。
など...
第三者委員会が全行員(3,595名)に対して行ったアンケートでは、
・内部通報制度を知っていた者は3,253名(90.5%)
・内部通報制度を利用したことがある者は36名(1.0%)
・通報しようと思ったが通報しなかった者198名(5.5%)
その理由は、「もみ消される」「報復される」
「言うだけ無駄」「誰が通報したか知られる」などで、
通報者保護が不十分と回答した者は2,591名(72.1%)である。
”上司から叱責されたことがあるか” の質問には、
全行員中839名(23.3%)が「はい」と答えている。
ある部門では343名中、248名(72.3%)が「はい」と答えている。
”信頼関係が崩れ” て負のスパイラルに至れば、このような状況に陥ります。
(行員はパワハラによる思考停止で、適切な行動が出来ない状態だったのです)
上記のようなハラスメント行為と状況は
どのような「罪」になると思われます......
]]>
部下の「教育・指導・育成」にはパワハラ的な要素が多く含まれます。
(時には厳しく教育や指導をしなければならないこともあります。)
状況を理解しやすくするために学校での事例で説明します。
<内容>
学校の授業中に隣同士の生徒が ”ふざけて” 周りの生徒に迷惑をかけていた。
それに気がついた教師が、”二人とも席の後ろで立っていなさい” と指示した。
これパワハラでしょうか?
<教師側の視点では>
教師の役割は授業のほかに、部活指導、生活指導、社会的常識(倫理や道徳やマナー)の指導などさまざまな役割を担っています。
上記は、生徒に社会的常識(道徳/モラル)を教えていると思われます。
であれば、善意の教育的指導と言えます。
<生徒側の視点では>
”皆のいる前で注意され、席の後ろに立たされた” ことで精神的なショックから、生徒は教師の「いじめ」だと認識した。
状況から見れば、生徒が ”いじめ” だと感じても不思議ではありません。
この教師の行為「パワハラ」それとも「善意の教育的指導」のどちらでしょう。
ご存じだと思いますが、ハラスメントには明確な規定はありません。
そのため被害者(ここでは生徒)が ”いじめを受けたと感じれば” それだけで親告はできます。
しかしハラスメント(悪意の行為)であるかは、第三者の判断にゆだねられることになります。
「被害者は ”いじめ” と感じれば親告できるが、ハラスメントと認められるとは限らない」のです。
(この説明につきましては、前回の記事をご覧ください。)
上記のようなケースは「悪意の行為」か「善意の行為」かの判断がとても難しいのです。
しかし ”これが加われば” パワハラだと見られる可能性が高くなります。
]]>
組織内の権力を笠に着て、権力の上位者が下位の者に対して、精神的や肉体的な苦痛を強いる行為を指します。
事の重大性を認識させるために現在は「いじめ」と解釈されています。(大人の「いじめ」です)
ハラスメントの中でも最も多いのが職場でのパワハラ(パワーハラスメント)で、厚労省の調査では2007年〜 2017年の10年間で2.4倍増の約7万2000件(2017年)の相談が入っていると報告しています。
私はパワハラの発生が増えたのではなく、”被害者が気軽に相談しやすい環境が整ってきた” ため増加したと捉えています。
気軽に相談ができると言うことは、明日はあなたが加害者になるかもしれないと言うことです。
ハラスメントの「加害者」や「被害者」にならないためには「ハラスメントに関する知識」と、その陰に隠れている「ハラスメント行為の本質」を理解しなければ防ぐことはできません。
被害者とは、ハラスメント行為を受けた当事者です。
加害者とは、ハラスメント行為をおこなった当事者です。
■ハラスメントに関する知識
組織内のハラスメントには、ハラスメントであると認定される条件が5つあります。
その条件は、
(1)力の関係
<権力>
被害者と加害者の間に明らかな権力的上下関係が存在する。
・会社であれば、上司と部下
・ゼミであれば、先生と生徒
・競技であれば、コーチ(指導者)と選手
など、
立場が上の者がその強い立場(逆らえないこと)を利用して下の者に対して一方的に精神的圧力を加えたり強要をさせたりします。
<数の優位(大勢が少数を)>
大勢の者が、一人または少数者に対して一方的に精神的圧力を加える。
話しかけても、皆が無視するような行動で孤立させることも該当します。
(2)情感(感情・心情など)
被害者に精神的ダメージが強く残る。
”ハラスメントが行われると” 被害者はどうなりますか。
被害者は、深く傷つき精神的ダメージを負います。
更に精神が疲弊すれば「自殺」に至ることもあります。
罪のない被害者が命を落とすことなどあってはなりません。
”ハラスメントを目にした” 周囲はどのように感じますか。
周囲は、嫌な雰囲気となりモチベーションと帰属意識が低下します。
(精神的ダメージは周囲にも影響を与えます)
更に進めば風紀が乱れ「不正や不祥事」が頻発するようになります。
だからハラスメントは放置できないのです。
残りの3っは......
]]>
・常に高圧的な態度で部下に接するパワハラ上司
・気分によって態度が変わる上司
・人によって接し方が変わる上司
・突然怒鳴る上司
(非があるのであれば叱られても仕方がありませんが... )
・大した事でもないのに執拗に攻めてくる上司
・日によって指示がコロコロ変わる上司
・適切な指示もなく仕事を丸投げ、あげくのはてには責任を押し付ける上司
(これは ”内容をしっかり確認しない” あなたにも落ち度があります)
・一貫性がなく優柔不断な上司
あなたの会社にもこのような上司がいるはずです!
こんな上司に ”理不尽だ” と詰め寄っても事態は良くなりません。
人間であれば多少の喜怒哀楽はあるものです。むやみにはむかっても...... との思いで、スルーする対応もありです。
しかし、このようなことが何度も続くのであれば、精神的障害に至ることもありますので対策を考えなければなりません。
このような場合、まずは理不尽な上司を観察することです。
・なぜこのような態度で部下に接するのか?
・家庭や職場での不満の発散?
・もともとの性格?
・それとも演技?
など
観察すれば面白いことが見えてきます......
]]>なぜこのように多くの方が犠牲になったのか......
それは、避難するタイミングが遅れたからです。
今回は、災害に直面した場合に起こり、避難の ”タイミングを遅らす” 「人の心理」と「その対応」についてお伝えします。
この心理は災害だけでなく、下記のような危機的な状況に直面すれば必ず起こります。
日本に住む、あなたは多くの危険に取り囲まれています。
日本のいたるところで起こる「自然災害」
・豪雨による河川の氾濫や山崩れ
・台風による高波や地震による津波
・火山噴火による火砕流、溶岩流、噴石など
・悪天候による山での遭難
・地吹雪や暴風雪によるホワイトアウト
など......
企業の経営陣であれば、必ず社内で起こる「人災」
・不正や不祥事
・感染症によるパンデミック
など......
上記は、日本のどこで起こっても不思議ではありません。
いや、毎年必ず起こるといってもいいくらいです。
だから毎年 ”誰かが遭遇” しています。
(明日は、あなたが遭遇するかもしれません)
そして、上記のような危機的状況に直面すれば、
誰もが、心の奥に秘めた「正常性バイアス」が働きます。
なぜなら正常性バイアスとは、人が持つ心理だからです。
そしてこの心理、日本人には特に強く働く傾向があります。
この正常性バイアスをコントロールすることができれば、危機的状況から ”逃れられる” 可能性が大幅に向上します。
私も使っている ”正常性バイアスのコントロール方法” は......
]]>この働き方改革関連法は「長時間労働の是正」「同一労働同一賃金」など、現在の日本が抱える悪しき労働慣行の大改革を目指しています。
日本流の労働慣行に慣れ親しんできた日本人経営者や、日本人労働者にとっては、この関連法に違和感を感じるかもしれませんが。この関連法は低レベルの世界標準です。
そして、なぜ急ぎ成立させなければならなかったのか、その裏にはもう一つの隠れた理由があります。(これについては、別の機会にお伝えします)
<働き方改革関連法の概要>
・時間外労働(残業)の罰則付き上限規制
(大企業:2019年4月施行。中小企業:2020年4月施行)
・脱時間給(高プロ)制度の創設
(大企業・中小企業:2019年4月施行)
・同一労働同一賃金の実現
(大企業:2020年4月施行。中小企業:2021年4月施行)
・インターバル制度の努力義務化
(大企業:2019年4月施行。中小企業:2019年4月施行)
・有休取得の義務化(大企業・中小企業:2019年4月施行)
・割増賃金率猶予措置の廃止(中小企業:2023年4月施行)
・産業医の機能強化(大企業・中小企業:2019年4月施行)
・裁量労働制の対象範囲拡大
これらの、労働基準法、労働契約法に関する8項目をまとめて改正する内容です。
しかし、これらの働き方改革関連法は、大きな枠を法律で定めたにすぎません。
(今まではゆるゆるだったのですから、大きな前進ではあります)
はたして、この改革関連法の精神を理解し、真の働き方改革が出来る会社がどれほどあるでしょうか。
「働き方改革」と聞いて直ぐに思い浮かぶのが、休日を多くしよう。
例えば、週休3日制を隔週で設ける......
しかし「これ」が出来ていなければ、簡単に休日を増やすことなど出来ません。
その「これ」とは何だと思われますか。
]]>感性とは、物事を受け入れる能力や感受性です。(感情、欲望、衝動なども感性の一つです)
この感性は ”AIと人の差別化” に、なくてはならないビジネスパーソンの優位性を保つ武器になります。
今回、感性を測る題材は、サッカー 2018 ロシアW杯、6月28日の日本vsポーランド戦をとりあげます。
この試合は日本が0-1で敗れましたが、決勝トナメント進出(各組2位までが進出)を争うことになったセネガルも敗れたため、僅差で日本が(Hグループ2位で)決勝トナメント進出を決めました。
ここで質問です、
あなたは試合終了前に行われた「10分間にもおよぶ時間稼ぎのパス回し」この行為に、何を感じましたか。
日本は0-1とポーランドに1点負けているにもかかわらず、決勝トナメント進出のため「時間稼ぎのパス回しをおこない」、攻撃をしませんでした。この行為に対し、賛否両論の議論が飛びかっています。
<僅差の詳細>
(1) 全試合での勝点、
(2) 全試合での得失点、
(3) 全試合での総得点、
(4) 当該チーム同士の対戦における勝点
(5) 当該チーム同士の対戦における得失点
(6) 当該チーム同士の対戦における得点
なんとここまでは、日本とセネガルは全て同じでした。
2位を決めたのは下記のポイントでした。
(7) フェアプレーポイントの少ない順(3試合の合計)
・イエローカード:1ポイント
・イエローカード累積での退場:3ポイント
・レッドカード一発退場:4ポイント
・イエローカード+レッドカード一発退場:5ポイント
日本は「4ポイント」、セネガルは「6ポイント」で、日本が上回り決勝トナメント進出を決めました。
このフェアプレーポイントも同じであれば、次は「クジ引き」だったそうです。
この ”時間稼ぎのパス回しを見て” あなたが「〇〇が必要」だと感じたなら......
]]>日大アメフット部のルールに反する悪質なタックル問題。
テレビ各局は連日のようにこの問題を報道していますので、ここでは少し違った視点でこの事案と向き合いました。
この問題は、悪質なタックルを受け負傷した関西学院大の選手が被害届を提出したことで、加害者は「傷害罪」、監督とコーチも共謀共同正犯に問われる可能性を秘めた事件となりました。
この事件の最大の特徴は、
加害者である日大アメフット部の部員がいち早く自らの意思で日本記者クラブに赴き、一人で「謝罪会見」を行ったことです。
そこには日大関係者の姿はありません... なぜ
謝罪会見は、
被害者への謝罪と、悪質なタックルに至った経緯を ”包み隠さず答える” この姿と誠実感に共感が得られた会見でした。
監督とコーチは ”事実とは乖離している” と伝えるだけで、多くを語っていませんが......
このアメフット部員の行動は、
「自己の反省」と「監督の行き過ぎた勝利至上主義の戒め」を込めた「内部告発」です。
ルールに反する悪質な行為を強要する、アメフット監督とコーチを告発したのです 。
この会見(内部告発)が、
なぜ多くの方に共感を与えることになったのか。
この会見の中に、共感を得る要素がギッシリと詰まっていました。
その要素とは......
]]>
忖度の語源は、中国の古い言葉で「相手の心を推し量る」と辞書に書かれています。
これを今の社会状況にあてはめれば、「相手の強い思いを推し量り、その思いに沿った行動をとる」となり、”相手が自らの感性で感じ取り、その思いに沿った行動を起こす” ことです。
だから ”忖度など無かった” と言えるのは安倍首相ではなく、その相手方が発する言葉のはずです。
なのに、安倍首相は国会で「忖度など働く余地はまったく無かった」と答えました。
・森友学園の学校建設のために「国有地の売却を格安でお願いしたい」との籠池前理事長の強い思い
昭恵夫人と強い繋がりを持つ籠池前理事長からの要望
・加計学園の理科大学獣医学部新設を、「国家戦略特区に認めて欲しい」との加計理事長の強い思い
旧知の仲である加計理事長からの要望
この二人の理事長の強い思いに安倍首相は
・財務省の大臣や官僚の決断(国有地の売却を格安で行った行為)
・文科省の大臣や官僚の決断(獣医学部新設を認めた行為)
”この決断に、国会で「忖度など無かった」と代弁した”。 私はこのように感じました。
もし二人の理事長の強い思いに対し、安倍首相が忖度したのであれば、これは忖度ではなく「関与」です。
なぜ安倍首相が ”忖度など無かったと言い切れるのか”
ここに「やましい思い」を感じます。
(この ”やましさ” が不信感に変わり、内閣支持率は大きく低下したのでは... )
日本の官僚制はヒエラルキー(位階、階層)構造を持つピラミッド型のシステムで、
(日本企業も同様です)
・上意下達の指揮命令系統を持ち
・組織への貢献度に応じて地位、報償が与えられる
特徴があります。(ウィキペディアより抜粋)
更に、日本人の美徳な心性である「おもてなしの心(気遣い、気配り、目配り、空気を読む)」が加わった組織文化で形成されています。
このような組織体においては、「忖度あるのが当たり前」です。
では、忖度は「美徳」なのか、それとも「悪の根源」なのか......
]]>
この呪縛に経営者は「適切な判断」という思考を奪われているのです。
更にこの呪縛は、
・会社に長く勤めれば勤めるほど
・会社に忠誠心が高ければ高いほど
・会社に貢献をしようと思えば思うほど
・従業員を守りたいと思えば思うほど
強くなります。
ようするに、いちずな経営者ほど ”この呪縛は強く働く” のです。
しかもこの呪縛はとても厄介です。
では、なぜこの呪縛が起こるのかおわかりでしょうか。
そこには人間の「顕在意識」と「潜在意識」が大きく関わっています。
この2つの意識がなぜ経営者を束縛するのか。
そのメカニズムを理解すれば呪縛の対処法が見えてきます。
「顕在意識」と「潜在意識」が形成されるメカニズムは......
]]>
2016年の不正や不祥事は8件でした。
・三菱自動車:燃費表記の偽装問題
・スズキ:燃費データ不正測定問題
・神戸製鋼:バネ強度の偽装問題
・JTB:顧客の個人情報大量流出問題
・アップル日本法人:アイチューンズ高額追徴課税問題
・電通:広告主に対する高額の不正請求問題
・電通:違法な長時間労働と残業時間の過小申告の強要問題
・DeNA:事実誤認や無断転用した情報を人気サイトに掲載した問題
2017年の不正や不祥事は、16年に比べ7件増の15件です。
・ファミリーマート: 従業員の過労死4300万円で和解
・HIS: 「違法残業」5回の是正勧告を無視
・てるみくらぶ: 破産で、ツアー客支払いの100億円、回収困難
・ヤマト運送: 隠蔽した「未払いの残業代」支払いへ
・富士フイルムHD: 不適切会計で決算発表を延期
・ぴあ: 顧客の個人情報流出で、不正利用された被害は630万円
・アリさんマークの引越社: 労働組合加入を理由に、社員に不当労働行為
・バイエル薬品: 血栓症治療薬「イグザレルト」の副作用情報を未報告
・日本年金機構: 「年金598億円」の支給を放置
・日産: 完成車の安全性検査を不正に行ったことで116万台リコール
・神戸製鋼: アルミや銅製品の「検査データを改ざん」して出荷
・スバル:完成車車検を無資格の従業員が行っていたことが発覚
・三菱マテリアル: 子会社で「製品データの改ざん」が発覚
・東レ: タイヤ補強材の「検査データ値を不正に改ざん」
・JR西日本: 新幹線の重大事故につながるインシデントを抱えたまま運行
これらの事案の多くは、防ごうと思えば防ぐことが出来た不正や不祥事です。
しかし当該企業は防ぐことが出来ませんでした。
なぜ出来なかったのでしょうか......
]]>会社員にとって12月の行事といえば、
「社内忘年会」を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
お酒好きにとっては楽しいひと時ですが、
・お酒が飲めない方
・個人の業績が振るわない方
・気の合う上司や先輩や同僚がいない方
などは苦痛でしかありません。
そのためか、この時期によく聞かれるのは、気の重い忘年会への参加 、
”なぜ「残業代が出ないの... 」これ、おかしくありませんか... ”
愚痴とも本音ともとれる嘆きです。
このような嘆きを聞くと、
”私も新入社員の時代には同じような思いをしたことがあった” と当時を懐かしく思いだしました。
そして時が過ぎ、ある時期から忘年会が楽しく思えるようになっていました。
(楽しく思えたのは、尊敬できる上司と気の合う先輩と同僚が多くいたからだと思います。)
話を本題に戻し
部下から、忘年会はなぜ「残業代が出ないのか 」と言われた場合。
(この裏には「忘年会は業務でしょうか」これが隠れています。)
この疑問に、上司であるあなたは適切に答えることが出来ますか。
]]>
誤った「リスク評価」が招くもの
リスクマネジメントには、対象となる事案のリスク評価が欠かせません。
なぜなら、リスク評価の軽重によって対応が大きく異なるからです。
事が表面化するまで放置することが出来るリスクもあれば、
放置したことで取り返しのつかない事態に至るリスクもあります。
これらは、起点となる事案の初期段階でのリスク評価にかかっています。
”初期段階の「正確なリスク評価」で決まる” と言っても過言ではありません。
例えば、
軽微な不正だと評価し放置したことで、
この不正が時間と共に社内に蔓延し「組織ぐるみの不正」に発展します。
この状況下では、”今さら社会に公表できない” との思いが強く働き隠蔽が起こります。
(従業員は、不正に対し違和感を感じながらも指示に従っています。)
更に数年が経過すれば不正は常態化し、事は更に深刻となります。
この時点での不正の発覚は、企業の存続をも左右する問題に肥大しています。
(従業員は、不正に対する罪悪感が麻痺していますので不正は更に続きます。)
そしてある日、突然不正が表面化します。
このように、リスク評価を誤ったことで現在窮地に立たされている企業があります。
日本を代表する企業の ”日産自動車、神戸製鋼所、SUBARU(スバル)” です。
]]>試合は10月15日、
セ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)、ファーストステージの第2戦(甲子園球場)で起きた出来事です。
この試合を寸評すれば、
「高い入場料を払い “草野球を見させられた”」私はこのように感じました。
(入場券は外野2,200円、アルプス3,000円、シート5,000円、グリーン上7,000、グリー下8,500円、SMB7,500円、TOSHIBA10,000円です)
試合は雨が降り続くなか、
日本野球機構(NPB)セ・リーグの統括者が試合強行の判断をくだしました。
(試合は雨のため約1時間遅れで開始されました)
CSの試合挙行の判断はリーグ統括者が行い、試合中の続行判断は
統括者の代行者である審判員が判断することになっています。
(会社に例えれば、統括者は社長、審判員は執行役員です)
なぜこの試合は強行されたのでしょうか。
私はこの判断に “不祥事を起こす企業と同じ体質” が隠れていると感じました。
前々回から3回連続の「企業の不正に対する」対処・対応についての内容となりますが、この企業不正に関する記事にコンサルタントの仲間から意見や質問をいただきました。
今回はその意見や質問を含め、企業不正に対する総括としてお伝えします。
(今後発生の不正事案につきましては都度お伝えします)
質問は仲間であるがゆえにストレートで鋭い内容です。
主な質問は、
Q1: 組織的不正はなぜ起こる
Q2: 軽微な不正を無くすことは出来るのか... 無くならないのでは
Q3: 起こった不正への対処の方が重要と思います
Q4: 仲間を監視する社風 ... おかしくありませんか
Q5: ”不正の指示” 断れるのか... どの様に断る... 断ればどうなる
コンサルタント仲間(士業と呼ばれる方を含め)も経営者からの相談に対し助言や指導を行う立場ですから、この質問は自分事なのです。
Q1: 組織的不正はなぜ起こる
この質問は、これまでに企業が起こした不正の状況を見れば理解することが出来ます。
・不正経理(粉飾決算、所得隠し、損失隠し、脱税... など)
・カルテル、談合
・不法労働行為
・不当な業務契約や販売契約
など、これら不正の多くは収益悪化により起こったとも言えます。
利益を上げるために実力以上の利益追求の姿勢と、経営者(経営陣)の保身が不正へと導くことになったのです。
収益悪化は「経営能力」にあるにも関わらず、それを ”まやかす思い” が、この危機を「会社を守るため」とか「この危機を乗り切るため」などと言って、不正を正当化し多くの者を巻き込んでいます。
▶Q1この答、多くは経営の悪化が原因で起こっています。
(個人的不正は、これとは異なる要因で起こります)
そして下記の二つがその大きな要因となります。
・ 一つは、収益を上げられない経営体質。
これは、経営陣の資質の問題です。
・もう一つは、危機管理能力の欠如。(クライシスマネジメント能力)
会社の存続にかかわる事態に対処する手段や仕組みがない。
又は、あっても機能していない。
これはクライシスマネジメント プランが無いのです。
仮に、不正が公にならず危機を乗り切ることが出来たとしても、このような企業はいずれ同様の不正を起こすことになります。
なぜなら、問題は「経営陣の資質」にあるからです。この問題を解決しない限り再発します。
(重大な不正を起こした企業の過去を調べてみてください。同様の不正が出てくるはずです。)
Q2: 軽微な不正を無くすことは出来るのか... 無くならないのでは
更に質問は続きますが中略し、”軽微な不正まで無くさなければならない” 理由が知りたい。
このような質問です。
まずこの質問、不正を無くそうとすれば、”いかにして不正を見つける” かにたどり着きます。
そして「不正を見つけることが重要」なのか、「不正をさせないことが重要」かとなります。
私は、不正を見つけることよりも、「不正をさせない」ことのほうが重要だと考えています。
例えば、
友人である同僚が「出張時の旅費交通費をごまかしていた」これを見たあなたはどのように感じますか。
”軽微な不正だから許してやるか” と思いますか......
]]>前回は、上司から「不正の指示を受けた場合の対処」についてお伝えしました。
今回は不正の対処の中で、最も重要である「不正をさせない」ためには、何が必要かをお伝えします。
前回の記事でもお伝えしましたが、「不正はいつか発覚」します。
不正はこの発覚の経緯(プロセス)を強化することによって、なくすしかありません。
”不正はしてはならない” これは誰もが認識していますが、メディアで報道されることのない軽微な不正は、おそらく毎日のように何処かで起こっていると思われます。
(あなたの周りでも、いくつかの不正が起こっているはずです)
そのため多くの企業はコンプライアンス(法令順守)強化として『知識と倫理の教育と啓発』が行われているはずです。
にもかかわらず不正は起こっています。
これは倫理強化だけでは、不正がなくならないことの表れです。
知識と倫理の教育や啓発が不要だと、言っているではありません。
”不正をなくすには” 更に何かを強化しなければならないのです。
倫理強化ではなくならないのであれば、私は不正を監視する「仕組みを強化」するしかないと考えます。
そしてこの仕組みの強化ポイントは、不正発覚の経緯(プロセス)の中に隠れています。
強化ポイントを探る不正の分析
不正は大きく分けて2種類に分かれます。
一つは、個人的な不正
もう一つは、組織的な不正
です。
この2種類の不正発覚の経緯を分析すれば、対策が見えてきます。
その不正発覚の経緯と要因は......
]]>先日、山梨県山梨市長が人事担当の職員に対し、2017年春採用の市職員採用試験(1次試験のマークシート方式による教養試験)で複数の 「受験者の成績点数を水増するよう指示」 する不正が発覚し、市長は ”虚偽有印公文書作成と加重収賄容疑で逮捕” され8月13日に辞職しました。
このような上司が部下に不正を強要する事件は数多く起こっています。
その中には不正を実行した部下が共謀共同正犯に問われた事件もあります。
不正の状況によっては「指示を行った上司」と「不正を実行した部下」とが同じ量刑になることもあると言うことです。
上司の「指示に従っただけ」とか「業務命令だから拒否できなかった」などとの言い分はあるでしょうが...
では、上司の「不正指示」に対し、あなたはどのような「備え」と「対処」を考えていますか。
これは他人事ではありません。 いつあなたが当事者になるかわかりません。
そして当事者になれば、様々な災難が降りかかってきます。
この災難は突然訪れ、あなたの社会生活や価値観を狂わすだけでなく、家族にも大きな影響を与えることになります。
だから「備え」と「対処」を考えておかなければ、ズルズルと不正の渦に引き込まれます。
その前に、”上司はなぜあなたに不正の指示をしたのか” 考えてください。
”誰でもよかった” などと言うことはありません。そこには必ず理由があります。
その理由、少し乱暴な表現をすれば、
・こいつであれば指示を拒否することはないだろう
・こいつであれば指示の拒否はできないはずだ
上司はこのような「めぼし」を付けています。災難はこの時点から始まっているのです。
そしてこの「めぼし」は、あなたの日ごろの行動に大きく関係しています。
優柔不断な態度、信念や正義感の欠如... などが上司に見透かされています。
だから常に「毅然とした態度」で業務に接しなければなりません。
これが日ごろの「備え」になります。
では、どのような「対処」をしなければならないか考えてみましょう。
まず、考えるにあたり肝に銘じておかなければならないことがあります。
それは、「不正は必ず発覚する」と言えます。隠し通せることなどありません。
このことを踏まえて対処を考えてください。
]]>「優越的地位の乱用」は 、なぜ起こる!
(濫用と乱用は同じで、メディアは主に「乱用」を使い、行政は「濫用」を使っています)
優越的地位の乱用を起こす企業は、「基本的なガバナンス」が機能していません。
基本的ガバナンスが機能していないとは、
パワハラ・セクハラ・いじめ... など、倫理規範に反する行為を是正する統治能力が低く、不正行為が起きても ”見て見ぬふり” をする体質が社内に形成されています。
この体質は、”不正行為や不法行為を見かけても上司に報告しない” 報告義務の放棄に表れます。
あなたの会社では起きていませんか。
先日、大阪ガスに「優越的地位の乱用」の疑いがあるため公正取引委員会は同社に立ち入り検査を行いました。(不公正な取引の疑いです)
優越的地位の乱用とは、
取引上の地位が優越している当事者が、取引相手に対し、その地位を利用して正常な商慣習に照らし不当に不利益を与える行為を行うことです。この行為は「独占禁止法」により、不公正な取引方法として禁止されています。(公正取引委員会資料より引用)
優越的地位の乱用(不公正な取引方法の禁止)に類似する行為を禁止する法律に下請法があります。
下請法は、親事業者の下請事業者に対する取引を公正にし、下請事業者の利益を保護するために制定された法律で、適用対象を明確にし違反行為を具体的に法定しています。
(公正取引委員会資料より引用)
例えば、受領拒否、下請代金の支払遅延、下請代金の減額、返品、買いたたき、物品の強制購入・利用の強制、不当な経済上の利益提供要請、不当な給付内容の変更や不当なやり直し... などの行為を禁止しています。
なぜこのような行為を立法化してまで禁止しなければならなかったのでしょうか。
]]>7月31日になって ”安倍首相とジャーナリストの田原総一朗氏” が首相官邸で「1時間半におよぶ秘密の会談」 を行っていたことがテレビ各局で報道され、この会談で田原氏が「安倍首相に対し重要な進言」をしたことが伝えられました。
リスクマネジネントの専門家がお伝えします。
皆さんは、田原氏が安倍首相にどのような進言をしたと思われますか。
”内容を予測” してみて下さい。
この予測は、リスクマネジメント能力に欠かせない「洞察力と観察力」と「未来を予測する力」の向上に繋がります。
この会談は、安倍首相が田原氏にお会いしたいと連絡し、一対一で行われたと言われています。
政権に辛口の田原氏が首相に何を進言したのか、私はとても興味深い思いでテレビ報道を見ていました。
会談後、田原氏は首相に「政治生命を賭けた冒険をしないか」と、進言したと語っています。
その内容は明らかにされていませんが、「恐らく民進党も共産党も自由党も反対しない」だろうと述べています。
また、田原氏は ”首相もその気になっている” 実現の可能性は「5割近くある」が、今内容が明らかになれば 「ブチ壊れる」 と口をつぐみました。
その後の取材に対し田原氏は
・「内閣改造や閣僚人事」との質問に、”そんな細かい問題じゃない” と否定。
・「解散総選挙の話」には、”年内にはあるかもしれないが” その話ではないと否定。
・「北朝鮮訪問」や「拉致問題」については、私は ”北朝鮮にパイプはない” と答えています。
・「社会保障」や「消費税関係」については、そのことではないと答えています。
いろんな事が推測されますが... 、 この答はFakeかも...
更に田原氏は、首相のためでも、自民党のためでもないが、「このことが出来るのは、日本では安倍首相だけ」で、そのうち首相の行動を見て『こういうことだったんだ』と分かるだろうとコメントしています。
皆さんはどのようなことだと予測されますか。
私は、このような予測をしてみました...
]]>「勧善懲悪(かんぜんちょうあく)」の構図とは。
この四文字熟語の意味は、「善は栄え、悪は滅びる」倫理規範で、正義と悪の対決シーンがこの構図です。懲悪勧善と表現されることもありますが意味は同じです。
”悪人を善人が懲らしめる” 日本人が好む典型的な構図で、時代劇はこのパターンです。
この構図には、誰もが認める「悪役」と「正義」の存在が欠かせません。更にこの構図が鮮明であればあるほど社会の注目が集まり大きなムーブメントが起こります。
そしてこの構図の恐ろしいことは、一旦転がりだせば止めることが容易ではないところです。
(明白な結論が出るまで転がります)
今年7月2日に行われた東京都議会選挙がこの構図でした。
昨年7月31日に行われた都知事選を大差で勝利した小池都知事に対し、自民都連の議員は就任当時から敵意を露わに接するなど都民の民意を軽視した態度と、国政では安倍内閣の度重なる失態や暴挙で、自民党は「悪役」で小池都知事が率いる都民ファーストの会は「正義」、この ”善悪” の構図が鮮明となり自民党を懲らしめるムーブメントが起こり、結果は自民の大惨敗です。
絶大な力を持った自民党でも正義を失えば惨敗すると言うことです。
そして強力な力を持っている者との闘いは ”勧善懲悪の構図は鮮明に” 映ります。
違った表現をすれば、風前の灯である民進党では起こりえない構図です。
だから蓮舫党首の二重国籍問題などたいした話題にもなりませんでした。
善にも悪にもなりえないほど存在感(力)がないからです。
(蓮舫党首は7月27日に都議選敗北の責任をとり辞任しました)
この構図、企業と社会の間でも時々起こります。
それは企業が重大な不祥事を起こした場合、「企業が悪」で「善が社会(消費者)」の場合です。
そして悪役となる企業の知名度が高ければ高いほど、 勧善懲悪の構図は鮮明になります。
例えば、この事案です......
]]>企業にBCP(事業継続計画)があるように、一般家庭でもLCP(生活継続計画)が必要です。
・BCP:Business Continuity Plan、
災害などの緊急事態が発生したときに企業が損害を最小限に抑え、事業の継続や復旧を早期に図るための計画です。
・LCP:Life Continuity Plan、(生活基盤である衣食住の継続)
災害などの緊急事態が発生したときに個人生活への影響を最小限に抑え、生活基盤の維持や立て直しを図るための計画です。
LCP(生活継続計画)聞きなれない方も多いでしょうが、災害の多い日本においては考えなければならない問題です。
日本は世界の中でも自然災害が発生しやすい国土で、
台風、豪雨、洪水、土砂災害、竜巻、落雷、大雪、地震、津波、火山噴火など...... 災害は毎年のように起こっています。
異常気象の影響かは分かりませんが、これからも大規模な災害は起こるだろうと思われます。
今年も7月に北九州で記録的な豪雨による、大規模な洪水と土砂災害が起こり多くの方が被災しました。
甚大な災害に遭えば、その後の生活は一変します。
仮に仮設住宅に入ることが出来たとしても、経済的にも精神的にも苦痛です。
この苦痛は企業でも一般家庭でも同じです。
大企業であれば ”多くの従業員を路頭に迷わせない” ためにBCPが行われています。中小企業の多くも何だかのBCPは行っています。
ただ企業は、被災の影響が甚大であれば苦渋の選択である事業撤退が出来ますが、家庭ではこれが出来ません。
自助努力で乗り越えるしかないのです。だから家庭のLCPは大切なのです。
災害に遭われた方々は、
「何十年も住んでいるが、大災害は起こらなかったので何も対策はしていなかった」などと、マスコミのインタビューに答えています。
気持ちは理解できますが、近年の大災害は日本のいたる所で発生しています。
明日、身近で起こっても不思議ではありませんので、危機意識は高く持たなければなりません。
では、家庭のLCP(生活継続計画)には何が必要でしょうか......
]]>今の自民党がしなければならないのは危機を乗り越える管理(危機管理)です。
これが出来なければ国政でも国民の信頼を失うことになります。
この危機管理はトップマネジメントしか決断することが出来ない専権事項です。
管理自体は難しくはありませんが「体裁・不安・恐怖... など」から決断を躊躇させる保身の力が強く働きます。(”組織を守るために自分が責任をとる” これが言えないのです)
タカタや東芝などがこのケースで、重大な決断が出来ず問題を先送りにした結果、悲惨な事態に至ったのです。
厳しい表現をすれば優柔不断なトップマネジメントが招いた結果です。
危機管理(クライシスマネジメント)を行うためには下記の能力は欠かせません。
ⓐ 分析力:結果に至った構成要素を大まかに分類する力
ⓑ 解析力:構成要素を細かく分け、要因(原因や因子)まで把握する力
ⓒ 予測力:知識や経験から未来を予測する力(論理的な予測)
ⓓ 想像力:予測を超えた世界を思い描く力
※リスクマネジメントとクライシスマネジメントはほぼ同じですが違いは、
・リスクマネジメントは、事を起こさせない未然防止管理とリスクをコントロールする管理です。
・クライシスマネジメントは、事が起こった後に行う管理で、最悪の事態に至らせない管理です。
自民党がこの危機を乗り越えるために、まずしなければならないことは。
惨敗の「真因」を把握することです。
この真因が把握できなければ、真の問題解決に至ることはありません。
まずは「事実の把握」と「分析」です。
【事実の把握】
選挙結果(fact)の把握です。
・投票率51.28% 、前回43.5%より7.78%増
・議席は、・自民 57→23
・都民ファーストの会(都民F) 6→55
・公明 22→23 ・共産 17→19
・民進 7→5
自民は、34の議席を失い
都民Fは、49の議席を伸ばした
何がこのような状況を引き起こしたのでしょうか.....
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