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BCP_感染症への対処 (後編)

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    BCP_感染症への対処 (後編)

     

    前編は ”感染症への対処とは「何か」" についてお伝えしました。

    後編は、従業員の安全(感染から守る)と安心を確保しつつ可能な範囲の事業活動を続けるために、具体的に「何ができ」「何をしなければならないか」についてお伝えします。

    この対処は「業種・業態や業務内容」そして「現在の財務体力と今後の展望」によっても異なりますので、これらを複合的に考察して対処の戦略を練らなければなりません。

     

     

    従業員の安全と安心を確保しつつ事業活動を続けるために

    ■何をしなければならないか

     

     ... それは ”従業員の行動とリスクをコントロールする” ことですが、これには決断を躊躇する場面がしばしば訪れます。

     

    当然です経営者にとって体験したことのない感染症に対する危機管理が求められるからです。そしてこれは対岸の火事などではありません、すべての経営者は当事者で決断の時間も限られますので早期の判断が必要です。

     例えば、”この感染症の危機をどのように捉えますか” 問われれば。

      答えは下記のように大別できます

       ・変革のチャンスが訪れた。

       ・財務力には余裕があるため乗り越えられる。

       ・早々に見切りをつけて会社を整理する。 

       ・財務体力の限界まで頑張る。

      どの判断も先が見通せないため不安ですよね。しかし最も駄目なのは決断ができないことです。

     

    そのためには「会社にとって ”大事なこと/失ってはならないもの” を明確にしておく」ことです。

    これは判断基準となるため決断力は飛躍的に向上します。

     

     

     

    まず本題に入る前に認識していただきたいことがあります。

    コロナ禍では ”「職場の安全」と「事業/経済活動」はトレードオフの関係にある” ことを忘れないでください。

     ・日常の業務活動に近づけば近づくほど、

     ・職場の安全は低下し、

     ・感染のリスクは高くなる。

     逆に

     ・職場の安全を重視し、

     ・人との接触を減らせば減らすほど、

     ・事業/経済活動は低下する。

    このことを理解したうえで、安全(リスクの低い行動)と安心を確保しつつ日常の業務に近づける工夫求められます。

    (この工夫が「業種、業態や業務内容、財務体力、今後の展望」などの状況で異なるのです。)

     

    日常の業務に近づける工夫に必要となるのは、

    新型コロナウイルス(COVID-19)の感染に関する知識とリスクの軽重です。

    これを把握しなければ行動のコントロールはできません。

     

    < COVID-19のリスクと感染の状況 >

    感染リスク

    (a)飛沫感染(密集、密接、密閉) → 感染リスク「高」

     * 咳やくしゃみや会話で飛び散ったウイルスを吸い込むことで感染する。

          感染予防をしていない感染者と1m以内で向き合い15分会話をすればほぼ感染します。
    (b)接触感染 → 感染リスク「中」

     * 咳やくしゃみや会話で飛び散ったウイルスが付着したモノに触れることで感染する。

       これは湿度が高いほどウイルスの付着量が多くなる特徴があります。
    (c)密閉された場所でのエアロゾル感染 → 感染リスク「低」
     * 大気中に放出されたウイルスが漂っていて、それを吸い込んで感染する。

       これは湿度が低いほどウイルスの漂う量が多くなる特徴があります。

    (d)ウイルスと接触している時間(濃厚接触者)

       接触している時間が長ければ長いほど感染リスクは高くなります。

     

      濃厚接触者の定義:

       感染者が症状を発症する2日前から隔離されるまでの期間に接触した者の中で

       ・感染者と2m以内で15分以上の接触をした者

       ・感染者と同一空間(車内、機内など)で長時間過ごした者

       が濃厚接触者となります。

     

    感染者の感染状況(参考)

     WHOや米国学術誌が公表している情報を基にした推測です。

     *海外での状況ですので参考としてください。

    (e) 無症状感染者(発症前と無症状の感染者)

        から飛沫感染をしたと思われる → 40〜55% ⤴増加傾向

     *感染力は発症の1〜2日前が強力です、そのため多くは発症前の感染者から感染したと思われます。

    (f) 発症後の感染者から感染をしたと思われる → 55〜30% ⤵低下傾向

    (g)その他の感染(上記b、c) →  5〜15% ⤴増加傾向

    ※感染が鈍化し感染者が減少すると共に(f)は減少し(e)(g)の比率が増加すると思われます。

     

     COVID-19夏場の感染力は弱い?

    実験室で夏と冬に見立て「気温と湿度と紫外線量」を変化させて得られた結果では夏場に感染力は低下することが確認されていますが、一部の疫学者は ”感染力はさまざまな要因で変化する” ので一概に「夏場に弱いとは言えない」と伝えています。更になぜ ”シンガポールは感染が拡大した” とも伝えています。

    私は、夏場の屋外では感染力が低下するが、冷房で快適な室内はその限りではないと考えています。

     

     

    感染は どのような「状況」と「場所」で起こる

     

    【飛沫感染】

    通常会話では飛沫の飛距離は2m以内です。咳やくしゃみは更に遠くまで飛びます。

    これらの飛沫を直接「口、鼻」で吸いこむことで感染します。

    (だから咳エチケットとしてマスクをつけ、人に感染させるのを防いでいるのです。)

    <起こりそうな場所> 

    会話が多く2m以内に人が居る場所です。

    (A)コールセンター、食堂、会議室、事務作業オフィス、トイレなど

     *仕事以外の場所は、カラオケ、飲み会、飲食、ライブハウス、トイレなど

     

    【接触感染】

    プラスティックやガラスやステンレスなどの金属表面では最長3日間ウイルスは生存しています。

    手に付着したウイルスは、指で「口、鼻、目」をこすることで体内に入り感染します。

    <起こりそうな場所> 

    ウイルスが付着したモノに触れる頻度が高い場所です。

    (B)食堂や会議室のテーブル、事務作業の机、エレベーターのボタン、

       会社のドアノブ、スイッチ、トイレ(便座やレバー)などや、

       通勤電車のつり革など

     *仕事以外の場所は、多くの人が使用するドアノブ、ボタン、スイッチ、便座やレバーなど

     

    【エアロゾル感染】

    大気中に放出されたウイルスはエアロゾルの状態で3時間は生存します。

    空気中を漂うウイルスを吸いこむことで体内に入り感染します。

    <起こりそうな場所> 

    人が密集する屋内で起こります。

    (C)コールセンター、狭い食堂や会議室、狭い作業場、トイレや、

       混雑する通勤電車/バスの車内など

     *仕事以外の場所は、カラオケ、ライブハウス、トイレなど

     

    どれも皆様が日常的に接している場所で感染するのです。

     

     

    では、感染を ”どのようにして防げばよい” でしょうか......  

     

    ■感染予防の対処策

    疫学の専門家は、

    (イ) ”「3密」の状況を作らない” ことだと言っています。

    ・密集場所 (部屋には多くの人を入れないこと)

    ・密閉空間 (部屋のドアや窓を開けて常に空気を入れ替えること)

      *冷暖房を行う場合は20〜30分に1回は空気を入れ替える。
    ・密着/密接場面 (人と人との間隔を2m以上空けること)

    ※ これらのことを総じてソーシャルディスタンス(社会的距離)と表現しています。

    こうすることで感染リスクを低下させることができます。

     

    (ロ)多くの方と接触する接客業務の方は

    「フェイスガード/シールド、ゴーグル、マスク」が有効で、”口、鼻、目” から侵入するウイルスを低減させる効果があります。

    (フェイスガード/シールドとゴーグルは直接飛沫、マスクは指との接触を防ぐ目的で使用します。)

     

     

    ■安全を確保しつつ事業活動を続ける工夫

    (ハ)デスクワークが主体である場合は

     ・テレワークに移行する

       これは上記(a、b、c、d、A、B、C、イ、ロなど)の多くの

       感染リスクを低下させることができます。

     

    (ニ)会社に行かざるをえない業務の場合は

     ・時差出勤と業務時間のシフトをして3密の状態を避ける。

       極端な例えは、21時に出社し6時に退社すれば、ほぼ3密は起きません。

       (通勤ラッシュを避ける工夫です)

     

    <付着したウイルスの除菌>

    (ホ)手に付着したウイルスの除菌

     こまめに手洗いを行う。

     ・出社時と適切な間隔やタイミングで行う

      *濃度70%以上の消毒用アルコールか石鹸を使用する。

     

    (ヘ)共有スペースに付着したウイルスの除菌

     ドアノブ・手すり、エレベーターのボタンやトイレの床など、こまめに除菌する。

      *塩素系消毒剤(塩素濃度0.05%〜0.1%を使用)

         注)塩素は微量でも過酸化水素(漂白剤)と混ぜれば有毒なガスが発生します。

     

    (ト)パーソナルスペースに付着したウイルスの除菌

     机や周辺の物の表面を適度な間隔で除菌する。

      *塩素系消毒剤(塩素濃度0.05%〜0.1%を使用)

        注)塩素は微量でも過酸化水素(漂白剤)と混ぜれば有毒なガスが発生します。

     

    (チ)忘れがちなのは、手で触る頻度が高いもの

     スマートホンやPCとボールペン類の除菌です。

      *ボールペン類であれば消毒用アルコールでOKですが、スマートホンやPCなどは映像面や塗装面を傷めることがあるので機器メーカーに問い合わせてください。

     

    <エアロゾル化したウイルス>

    (リ)室内の空気中を漂うウイルスの除去(濃度を薄める)

    空中に浮遊する微小のウイルスや床に落ちた微小のウイルスはエアコンの送風や人が通ることで部屋中に拡散されます。

    このウイルスを除去するには換気扇での強制排気が効率的です。換気扇が無い場合は、窓を開けて換気することです。

     

    注)換気扇の場合、換気口が天井や天井に近い位置に取り付けられているか確認してください。低い位置や不適切な位置にある場合などは気流に注意してください。風ざしもでは感染を広げてしまうことがあります。

       

     

    <更なる工夫>

    ・お客様と対面で接客する業務は

     「フェイスガード/シールド、マスク」は欠かせません。

     更にレジなどの業務は、上記に加え「ビニール製手袋」も必要です。

      *手袋は業務が中断する都度交換し外した後はすくに手洗が必要です。

     

     

    これらの感染予防は多くの疫学者の方が伝えている内容です。

     

     

     

    ここからはリスクマネージャーとしての私の所見です。

    では、COVID-19の感染リスクが最も高いと考えられる場所はどこでしょうか。

     

    私は「3密」と感染リスクの「 a、b、c、d 」の全ての条件がそろっている

    「通勤電車/バスの車内」が最も感染リスクが高いと考えています。

     

    ※ 具体的なエビデンスはありませんがリスクを積上げた結果です。

     そして、感染経路不明の多くはこの場所ではないかと思っています。

     (これはリスクマネージャーとしての私の仮説です)

     

    であるならば、テレワークは感染防止にとても有益だと言えます。

    有益であるならば多くの業務をテレワークに移行しなければなりません。

    (テレワークへの移行は、出来そうな業務から徐々に広げて行くことです)

     

    なぜなら、疫学者の方は本格的な ”第二波は秋〜冬” にかけて起こる可能性がある。そして ”この第二波の感染は強力かもしれない” とコメントしているからです。

     

    このテレワークによる感染防止の主意は『通勤』です。

    ▶ 混雑した「電車やバスを使わない」こと

     ・会社から遠くない場合は自転車で通勤する

     ・地方であれば車で通勤する

    ▶ 電車やバスを使用する頻度を減らす

     ・出社する回数を減らす。チームを分けて分散出社する。

    ▶ 混雑する時間帯を避ける

     ・時差出勤する

     ・土日に出勤し、月火を休日にする

    などでも感染リスクは下がります

     

    やむなく出社した方に対しても、職場の安全性を高める工夫を施すことが必要です。

    先に述べました3密への対処」は必須ですが、多くの企業で机やテーブルに「透明のアクリルパーテーション」を設置して安全性を高かめています。

     

     

    これまでに述べたものは主に感染に対するハード面(tangible)での対処でしたが、対処にはソフト面(intangible)の対処もあります。

    ■「会社のカルチャー」と「仕組」を変える

       これも社内の感染拡大を防ぐために必要な対処です。

     

    <休む勇気>

    頑張りすぎは社内に感染を拡大してしまうかもしれません。

    ・普段より少し体温が高い(自分の平熱を把握していること)

    ・咳、鼻汁や軽い咽頭痛、頭痛、倦怠感がある

    ・COVID-19であれば、味覚、嗅覚がいつもと違う

    など体調がいつもと少し違うときの対処です。

     

    無理をすれば出社は可能な状態でも休む勇気休める雰囲気作りです。

    これができれば、前述の「感染状況の:・発症後の感染者から感染したと思われる 30%」が防げます。

    だから「自分の体を守ると共に職場も守る」ことになるのです。
     

    これを実現させるには、欠かせないことがあります。

    それは、重要なイベントにはメイン担当とは別にバックアップが可能なサブ担当を待機させておくことです。

     あたりまえの手法ですが実際に行っている職場は多くありません。

     なぜなら ”無駄だと考えている” からです。本当に無駄でしょうか。
     

    <感染の 情報エスカレーション ルールと仕組>

    従業員がCOVID-19に感染すれば、感染者に対し会社は出社停止など必要な措置を講じなければなりません。この場合のルールと仕組です。

    (1)感染者または感染者の家族は、会社の誰に連絡する

        *上司または危機管理部門が一般的です。

    (2)その後、上司・危機管理部門は担当役員や社長に報告する

    これが情報のエスカレーションで、ここまでのルールと仕組はあるはずです。しかしこれだけでは不十分です。

     

    感染の拡大を防ぐには下記のような仕組が必要です。

    (3)危機管理部門は役員報告と同時に保健所と連携し、

       いち早く濃厚接触者を洗い出すことが必要です。

        *社内だけではありません、取引先やお客様もです。

       

      従業員全員に日々の濃厚接触者を報告させ記録し保存する。このような仕組です。

      厚労省提供「濃厚接触確認アプリのCOCOA」を活用するのも一つの方法です。

      近くに感染者がいたか確認できるスマホのアプリです。(6月19日より厚労省ホームページでDL可)

     

    この仕組みを作らなければなりません。

     

     

     

    【感染症に対する対処の総論】

    6月19日に移動自粛が全面解除され経済活動はこれから本格化しますが、これは感染の終息を意味するものではありません。

    1ヶ月以上続いた緊急事態宣言による経済活動の自粛で財務体力が大きく低下している状況では、今秋に起きると言われているCOVID-19の ”第二波” を乗り切ることは困難だと政府は判断し、感染リスクよりも経済を優先したのです。

     

    これから経済活動が本格化するのに伴い感染は必ず増加に転じます。

    そのため、これまでに述べたような対処を駆使した自衛策で身近な感染拡大を防ぎ、「従業員の安全と安心を確保しつつ可能な事業活動を行う」ことで長期化するこの危機を乗り切るしかありません。

     

    感染の終息が見通せない状況では、

    危機を乗り切る財務体力を維持しながら、

     「出来る感染対処」と「可能な事業活動」を同時に実施するしかないのです。


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