雨による泥沼の甲子園球場で強行された阪神vsDeNA戦の罵声
リスクマネジメントの専門家がお伝えします。
試合は10月15日、
セ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)、ファーストステージの第2戦(甲子園球場)で起きた出来事です。
この試合を寸評すれば、
「高い入場料を払い “草野球を見させられた”」私はこのように感じました。
(入場券は外野2,200円、アルプス3,000円、シート5,000円、グリーン上7,000、グリー下8,500円、SMB7,500円、TOSHIBA10,000円です)
試合は雨が降り続くなか、
日本野球機構(NPB)セ・リーグの統括者が試合強行の判断をくだしました。
(試合は雨のため約1時間遅れで開始されました)
CSの試合挙行の判断はリーグ統括者が行い、試合中の続行判断は
統括者の代行者である審判員が判断することになっています。
(会社に例えれば、統括者は社長、審判員は執行役員です)
なぜこの試合は強行されたのでしょうか。
私はこの判断に “不祥事を起こす企業と同じ体質” が隠れていると感じました。
<当日のグランドコンディション>
試合開始時になっても雨はやむことなく内野は水が薄っすらと浮き出ている状態です。
試合中も雨は降り続き3回ごろには内野は水たまりができ、まるで田んぼ状態です。
両軍の選手はこの状態で9回まで試合を続けたのです。
(試合時間は4時間35分)
試合は両軍で31安打の乱打戦となり、13−6で横浜DeNAが勝ちましたが、DeNAのラミレス監督は「ヒットは出たが、半分はこの状況でなければ、そうならなかったと思う」と、複雑な表情だったそうです。
このようなグランドコンディションで試合を行えば、
選手は怪我を恐れるあまりプロ野球選手としてのプレーは出来ません。
ボールは泥にまみれて転がらず、ファウルになるはずのゴロがヒットになり、外野手は怪我を恐れて緩慢なプレーでワンヒットがツーベースに変わったり、野手は捕球しても転んで悪送球するなど、普段は起こらないような凡プレーが随所に見られた試合でした。
だから草野球と感じたのです。
なぜそこまでして試合を行わなければならなかったのでしょうか。
この疑問に対しNPBセ・リーグの統括者は、
レギュラーシーズンであれば試合は中止されたはず、CSは特別な試合でレギュラーシーズンの中止とは意味合いが違う。
だから ”試合を行うことを最優先に考え強行した” このため “両軍の選手と応援に駆けつけたファンの皆様には大変苦労をかけた” と説明をしました。
この説明に納得が出来ますでしょうか。
プロ野球の試合は興行です。入場料をとってプロのプレイをお客様に見せるのです。
このことは ”CSも、レギュラーシーズンも” 同じはずです。
しかしセ・リーグの統括者は、選手のプレイよりも試合を行うことが重要と説明しました。
NPBは 試合の質よりも、試合を行うことが最優先! と考えたのです。
阪神が甲子園球場で試合を行った場合は、1試合当たり約3億円の売り上げがあると言われています。
(入場料収入+TV放映権料+グッズ販売や飲食代金など)
企業に例えれば、
利益を得たいばかりに、社員(野球選手)と消費者(野球ファン)のことは考えず、商品の販売を優先した。
「商品の質よりも利益が優先」この考えは、重大な不祥事を起こす企業に共通する特異体質です。
・プロ野球の選手であれば、最高の野球をファンに見せたいとの思いがあり。
・プロ野球のファンは、選手の最高のプレイが見たいとの思いがあります。
NPBの判断は、この両者の思いを踏みにじる行為です。
だから野球ファンからNPBを批判する声が上がり、「入場料を返せ」と罵声を浴びることになるのです。
このような考えでは、いずれ日本プロ野球は衰退するでしょう。
“試合は「誰のために」「何を目的」として行われるか”
このことを野球ファンの目線で考えれば、適切な判断が行えたはずです。
不祥事を起こした企業に例えれば、
“商品は「誰のために」「何を目的」として販売されるか”
このことを消費者の目線で考えれば、適切な行動が行えたはずです。
「誰のために」「何を目的に」
このことを真剣に考え行動すれば、不祥事は半減します。
- 2017.10.28 Saturday
- 経営者の資質
- 16:04
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- by REPsコンサル 西野 泰広